第11話 ページ12
ふっ、と意識が戻る。
我に返って周りを見渡しながら、この行動はコンフィーネに来た時と似てるな、と思いくすっと笑った。あの時はお姉ちゃんが下敷きになっちゃったんだっけ。
しかし、ここはどこだろう。真っ暗な―…ん、光?
「…って、わ!?」
床に頭から落ちたらしい。
「ったぁ…」
頭をおさえながら起き上がると、私以外の2人はしっかり着地できており、「大丈夫?」とニヤニヤしている。
「どうやら教室にはこうやって入ることになるみたいだね。由美もちゃんと着地できるようにしようね」
しようねって何だ…慣れか…慣れなのか…!
「…んで、なんかあるの?教室に」
落ちて乱れた前髪を直しながら質問すると、亜美が答えてきた。
「そうね、恐らく1教室に1匹、魔物がいるようね。本は固定されてて読めないし…」
「ほら、あそこだよ」
マオに指を指された先には、1匹の小さな―…犬?いや鼠?のような生き物がいる。
物陰に隠れており、それはとても―
「可愛いいぃぃいっ!!」
そのもふもふした人形のような身体、丸い瞳。そしてぴょこんと動く耳としっぽ!
…可愛い。可愛すぎる。もはや可愛いとかのレベルじゃない。愛らしい。超愛くるしい。
「でも、倒さないと」
―亜美にばっさりと斬られた。悪魔か。私にこの生き物を倒せというのか。
「ペットにできなくもないけど…」
マオの呟きを私は聞き逃さなかった。思わずマオに詰め寄る。
「あーうん!してあげる!わかったから!うん!するから!どけ!」
「あれ、マオってもしかして女の子に触られるの苦手?」
「苦手だよ!…とにかく!ペットにはするから!一旦倒して!じゃないとできないから…」
はぁはぁと荒い息を立ててマオは私から離れた。叫んだから疲れたらしい。
「でもどうやって倒すの?」
「…その程度なら軽く叩くだけで倒れるよ」
私はその可愛い生き物に近づく。もうお前の愛称は決定しているんだ。さあこいむーちゃん。
「むーちゃんって誰だよ…」
亜美のツッコミも無視しむーちゃんとの距離を縮めると、驚いたのかむーちゃんは手に飛びつき、人差し指を噛んだ。
「痛っ」
思わずぺちっと叩くと、むきゅ!と声をあげて気を失ってしまった。ごめんね。
「よし。こっち貸して」
マオは学校に入ってきた時のように手に碧い光を集め、そこにむーちゃんを乗せる。ぱっと一瞬辺りが輝き、その手には元気になっているむーちゃんがいて、私の身体に飛び乗ってきた。
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作者名:埣空 碧(さいくう あお) | 作成日時:2013年4月20日 19時