【ジョジョの奇妙な冒険】Fiore velenoso 【ジョジョ５部】

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フーゴは男より先にパープル・ヘイズを繰り出す

男はフーゴの攻撃をいとも容易く避け、人間とは思えない身のこなしでフーゴに近づいた

「フーゴよォ、そこに転がってる女だがよォ...死にかけてるぜ？お前は頭がいい、一人で逃げるのが名案だろう？な？そんな死にかけの女と磔になったミスタをまだ守ろうとしてンのか？あ？」

顎を掴まれ、あっという間に距離的にパープル・ヘイズを使えない所まで近づかれてしまった

フーゴは眉をしかめ、男の細い手首を掴む

骨がミシリミシリと嫌な音をたてて曲がり始めた

「うッ...てめ、何だこの力...！」

「テメェ〜〜...！！俺に触ってンじゃあね〜ぞッ！！このゴミ虫がッ」

フーゴの理性は既に切れていた

それは何が引き金になったのかも分からないほどにあっという間のことだった

男の顎をひッ捕まえて矢鱈にいたぶり、その辺に落ちた者で容赦なく慈悲もなく殴り付ける

何に対しての怒りか＿

フーゴの瞳の端には血だらけで地面に横たわるAの姿が見えた

男が気を失ったからかミスタの体が壁から離れ地面に落ちた

我に帰ったフーゴは急いでミスタへ駆け寄る

「はぁッ、うぅッ」

「ミスタ、しっかり...急いでブチャラティ達の元へいきましょう」

ミスタの傷痕は何かに縫われたような、そんな跡だった

フーゴはナランチャを引きずり起こすと肩を貸し、ミスタの腰を支え、Aを背負って歩き出した

先程まで生きていたはずの華奢な男は既に事切れていた

フーゴはその男に対して慈悲もまた怒りもなく哀れみの目を向けて一歩、また一歩夜の町を歩き出した

「いててっ、おい、フーゴ...俺はもう大丈夫だからよ〜ッ、Aを貸せ」

「なにする気です？もしかしてAを運ぶんですか？」

「たりめーだろーがッ、お前ナランチャも抱えてンだろ...Aは一刻を争う、俺が先に病院連れてくからよォ、ブチャラティを呼んできてくれ」

ミスタは今までは見せていなかった後悔の表情をフーゴへ向けた

恐らく自分の経験不足と冷静さの欠如でAが瀕死状態になったと自責の念に駆られているのだろう

フーゴは一息吐くと、分かりましたと傷だらけのミスタの背中にAを預けた

ミスタの健康的な肌にAの鮮血がぬめり、と滴る

その血を見てフーゴはゾクリ、と何かを感じた


あの男が言っていた意味深な言葉＿


僕たちに何かこれから不吉なことが起こるのではないか？＿と

フーゴは震える体を抱き締めて暗く星の瞬く空を見上げた

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