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443話 ゼロの執行人 ページ44

『どうぞ』


紙袋から弁当箱を取り出し、安室さんの前に差し出した。

梓さんがニコニコしながらバックヤードに引っ込んでいくのを確認して、俺は口を開く。




『俺、謝らなきゃと思ってて』

「謝る?」

『風見さんに弁当をあげたこと』

「あ、ああ…」


あのとき、零さんは少し機嫌が悪いようだったから。



『公安の人に、手作りの弁当を渡すのは悪かったよな。配慮が足りなかった。ごめん』


どこで毒を盛られているか分からない。
手作りなら尚更だ。



「え…?それだけか?」

『…?他に何かあった?』


そう言うと、零さんははぁぁ…と溜息をついた。



「いや、もういい。いただきます」

『え?何?なんか他にまずいことした?』

「…Aさんは、肝心なところで鈍感ですよね」



梓さんが戻ってきたことで、安室透に戻る零さん。



「ふふ、苦労しますね、安室さん」


途中からだったが梓さんも状況を微かに察してか、話しに加わってきた。



「まったくですよ。あ、美味しい」

『え、本当?』


卵焼きを食べた安室さんからの率直な感想に嬉しくなる。



「とにかく、いいですか?Aさん。今後、僕以外にお弁当などの差し入れは控えてください」

『は、はい…?』


疑問形になりながらも返事をしておく。


本当は美味しくない、とかだろうか…。

でも安室さんはどんどん箸を進め、弁当を平らげていく。



不安になりながらも俺はミルクティーに口をつけた。




「ごちそう様でした。お弁当のお礼に何か作りますよ。食べたいものはありますか?」


綺麗に完食した安室さんがエプロンをつけなおすのを見つめる。



『じゃあ…、半熟ケーキを…!』

「了解」



甘いもので疲れを癒そう。
安室さんの特製ケーキなら回復間違いない。


キッチンに入る安室さんを見つめ、口元が緩んだ。





かっこよくて、だけど大胆で、日本を守るためならどんな手段でも厭わない。


そんな零さんが、やっぱり好きだな、と心から思った。





444話→←442話 ゼロの執行人



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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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096 - いおりさん» コメントありがとうございます!人生の楽しみだなんて、嬉しい限りです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!! (2019年8月10日 19時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 黒瀬くんと降谷さんの日常を見てニヤニヤしてます。この物語は今や、私の人生の楽しみになっています。こんな物語を書ける096さんはすごいですね。これからもお体にお気をつけて、更新頑張ってください。 (2019年8月9日 23時) (レス) id: 50154c1ba9 (このIDを非表示/違反報告)
096 - basuke07さん» コメントとリクエストありがとうございます!ずっと読んでいただけて嬉しいです!それも面白そうですね…!ぜひ機会がありましたら構想を練って書いてみたいと思います! (2019年8月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
basuke07(プロフ) - 一番最初から今までずっと読んでますとても面白いですリクエストみたいなものなんですが夢主さんがまた警察の公安になる番外編的なものを作って欲しいです (2019年8月6日 19時) (レス) id: 7f07f3e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 裕さん» コメントありがとうございます!長いのに、ここまで読んでくれたのですね…!お疲れ様です!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月20日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:096 | 作成日時:2019年7月13日 14時

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