436話 ゼロの執行人 ページ37
「しっかり掴まってるんだ!!」
零さんは正面を見据えて、ハンドルを強く握りこむ。
『零さん…!?何するつもりなの…!?』
打開策など検討もつかない。
コナンも同じようで、焦った表情を零さんに向けている。
だが、そんなことお構いなしに、零さんはスピードを緩めない。
それどころか、メーターはまた180キロだ。
『っ……零、さ…』
彼の表情を見て、ゾッとした。
その表情は覚悟を決めた笑みだった。
モノレールのライトが、そんな彼の表情を照らす。
ぶつかる――…と覚悟を決めて、コナンを力強く抱きしめ、目を閉じた。
僅かな衝撃と、何かが吹き飛ぶ音が聞こえた。
そっと目を開けると、車はモノレールの側面を片輪で走っていた。
見たこともない光景に、一瞬意識が飛びそうになるが必死で耐えた。
「ここだ!」
零さんはハンドルを切る。
車は再び宙に浮き、下にあった別のモノレールの線路に着地し、衝撃が走る。
だが後ろからは、また別のモノレールが迫ってきている。
線路の壁面に車体がぶつかり、時々火花を上げながらも、零さんはコントロールを取り戻し、車はまっすぐ走り出して後ろに迫るモノレールを引き剥がした。
『…また、死ぬかと思った…』
思わずぼそりと呟いた。
コナンもほぼ同じことを考えていたようだ。
それにしても…どうやったらこんな運転技術が身につくんだ…。
もう公安警察とか、スパイとか、探偵の域を超えているんだが…。
というか、これが劇場で放映されたら…零さんのファン、絶対増えそう…。
「で、どうする?」
俺のそんな嫉妬を知る由もなく、零さんは正面を向きながら冷静にコナンに指示を仰ぐ。
「あ…待って」
コナンもすぐに冷静になるとスマホを操作した。
「この建築中のビルに向かって!」
スマホの画面には上空からのエッジ・オブ・オーシャンの写真があり、爆破された国際会議場の脇に、クレーンのついた建築中のビルがあった。
「よし!」
零さんはその位置を確認して、力強く頷いた。
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096 - いおりさん» コメントありがとうございます!人生の楽しみだなんて、嬉しい限りです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!! (2019年8月10日 19時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 黒瀬くんと降谷さんの日常を見てニヤニヤしてます。この物語は今や、私の人生の楽しみになっています。こんな物語を書ける096さんはすごいですね。これからもお体にお気をつけて、更新頑張ってください。 (2019年8月9日 23時) (レス) id: 50154c1ba9 (このIDを非表示/違反報告)
096 - basuke07さん» コメントとリクエストありがとうございます!ずっと読んでいただけて嬉しいです!それも面白そうですね…!ぜひ機会がありましたら構想を練って書いてみたいと思います! (2019年8月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
basuke07(プロフ) - 一番最初から今までずっと読んでますとても面白いですリクエストみたいなものなんですが夢主さんがまた警察の公安になる番外編的なものを作って欲しいです (2019年8月6日 19時) (レス) id: 7f07f3e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 裕さん» コメントありがとうございます!長いのに、ここまで読んでくれたのですね…!お疲れ様です!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月20日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年7月13日 14時