435話 ゼロの執行人 ページ36
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高速道路の車通りは少なく、零さんは猛スピードで車を走らせる。
フロントガラスがない車内には、風が強く吹き込んでいた。
そんなものはお構いなしに、次々と前を走る車を追い抜いていく。
法廷速度なんてガン無視だ。
今は一刻の猶予もない。
「この先は渋滞だよ」
俺の膝の上でスマホを操作していたコナンが零さんに伝える。
「避難誘導が上手くいってないのか…!?」
『きっと、情報が錯綜してるんだ…!』
荒いハンドルさばきで急カーブを次々に曲がっていく零さん。
エッジ・オブ・オーシャンに向かう橋は一本しかない。
どうやって渋滞を突破するつもりだ…、と思っていると、零さんはさらにアクセルを踏み込みスピードを上げた。
メーターを見ると180キロ。
まじかよ、と思い零さんを見ると、彼は不敵な笑みを浮かべていた。
目の前に渋滞が見えた。
コナンの体を強く抱きこむ。
零さんはハンドルを勢いよく右に切った。
左のタイヤが浮いて、車体が右に傾いた。
『っ…!』
片輪走行で、RX-7は渋滞で立ち往生している車の間をすり抜けていく。
重力で右に持っていかれそうになる体を、コナンを抱きながら必死に抑える。
そして車は、渋滞にハマッて停まっていたキャリアカーの荷台に猛スピードで上がり飛び上がった。
宙に浮いた車は、高速道路と並行に走っていたモノレールの屋根に飛び移る。
その屋根からも飛び上がり、線路に着地した衝撃に体が悲鳴を上げた。
『ぅっ…』
「くっ…」
渋滞を抜け出したが、今走っているのは線路の上。
これも立派な犯罪だが、もうどうにでもなれ、だ。
コナンは俺の膝から体を浮かせ、窓から顔を出す。
つけていたメガネでカジノタワーの位置を確認している。
《降谷さん!》
そのとき、零さんのイヤフォンから風見さんの焦った声が聞こえてきた。
《カプセルのパラシュートが外れて、加速してます!》
「それで!?」
《NAZUから、予測落下地点が出ました!このままじゃ、あと5分でカジノタワーに落下します!!》
『あと5分…!?』
「チッ…!」
「蘭…!…クソッ!どうする!?どうする!?」
コナンは焦った様子でスマホで計算を始める。
『…零さん、前…!』
前方から近づいてくる光に気づき、声を上げた。
モノレールが、こちらに向かって走ってきている。
このままでは正面衝突。
確実に死ぬ。
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096 - いおりさん» コメントありがとうございます!人生の楽しみだなんて、嬉しい限りです!これからも楽しんでいただけるよう頑張ります!! (2019年8月10日 19時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 黒瀬くんと降谷さんの日常を見てニヤニヤしてます。この物語は今や、私の人生の楽しみになっています。こんな物語を書ける096さんはすごいですね。これからもお体にお気をつけて、更新頑張ってください。 (2019年8月9日 23時) (レス) id: 50154c1ba9 (このIDを非表示/違反報告)
096 - basuke07さん» コメントとリクエストありがとうございます!ずっと読んでいただけて嬉しいです!それも面白そうですね…!ぜひ機会がありましたら構想を練って書いてみたいと思います! (2019年8月6日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
basuke07(プロフ) - 一番最初から今までずっと読んでますとても面白いですリクエストみたいなものなんですが夢主さんがまた警察の公安になる番外編的なものを作って欲しいです (2019年8月6日 19時) (レス) id: 7f07f3e8a0 (このIDを非表示/違反報告)
096 - 裕さん» コメントありがとうございます!長いのに、ここまで読んでくれたのですね…!お疲れ様です!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年7月20日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年7月13日 14時