【名探偵コナン】異世界の訪問者9《男主》

419話 ゼロの執行人 ページ20

《彼の自 殺は、拘置所の中で公安警察に取調べされた後、すぐだったんです》

《あの…羽場二三一さんは、司法修習生を罷免されてますよね？》

《裁判官を目指してたってこと？》

《はい。ですが、司法研修所の修了式のときに、裁判官に採用されなかった彼は、無理矢理壇上に上がって、不採用となった理由を所長に求めたそうです。その行動は、自己満足的な正義感による暴挙と見なされ、裁判官はおろか…》

《弁護士になる道もなくなり、司法人生を絶たれた…》

《なぜ羽場さんを事務員にしたの？》

《人にはね、表と裏があるの。君が見ているのは、その一面にすぎない》



橘弁護士が羽場を事務員にしたのは、きっと公安からの指示があったからだろう。
司法修習生を罷免された彼が、自暴自棄になり、暴走をしないように。


毛利さんが不起訴になったのなら、自分はもう用済みだと、橘弁護士は事務所を出て行った。



《じゃ、私も…捜査が残ってますので》

《犯人のNorを調べるんだね？》


帰ろうとする白鳥警部にコナンが聞いた。



《うん。NAZUに捜査協力を依頼してあるんだ》

《NAZUって、アメリカの？》

《そうだよ。NAZUでは昨年、Norを使った不正アクセス事件があってね》


…Norを使った、不正アクセス事件…？



《ああ、境子先生が弁護した…》

《それがきっかけでNorユーザーを追跡するシステムが、NAZUで完成してたんだ》


それはさっき、零さんが言っていたことだ。



嫌な予感が、徐々に大きくなっていく。

犯人が、その不正アクセス事件に倣って、NAZUに再びNorを使った不正アクセスを行ったとしたら…？



《NAZUは今日、はくちょうを着水させるミッションに追われていますからね》



…宇宙探査機、はくちょう…。
今日が帰還日…。



『ッ……』


いや、まさか…。
まだそうだと決まったわけじゃない。

でも……。



――サミット会場の点検をしていたのは公安部。
――警察庁の公安は、警視庁や検察庁よりも立場や権力が上で公安的配慮が働く。
――公安警察の、協力者。
――風見さんの協力者である橘境子。
――安室という男は、人殺し。
――88231。
――NAZU不正アクセス事件。
――IOTテロ。
――警察の捜査資料は、犯罪の詳しい手引書。
――爆発現場で見つかった、IOT圧力ポットのガラス片。



ピースが、全て繋がった。



これで合点がいく。

犯人も、その動機も。


だとしたら、最初から狙われていたのは…。



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