340話 ページ41
ココアを飲み干して、じっと快斗を見つめる。
『それで?』
「え?」
『俺だけ教えるのはフェアじゃない。教えてよ。どうして君が、怪盗をしているのか』
「…そうだな。黒瀬さんになら、話してもいいか」
快斗は真面目な表情で手を組んで話し始めた。
「俺の親父も怪盗だったんだ。でも、数年前に死んじまった。最初は事故だと思っていたけど、どうやら殺されていたらしい」
『…もしかして、父親の敵討ちのために?』
「ああ。やつら組織は、不老不死が得られる伝説のビックジュエル、パンドラを探している。奴らよりも先に俺が見つけて、破壊してやるんだ」
『パンドラ…』
不老不死が得られる宝石…、そんなもの、本当にあるんだろうか。
そのとき、机に置いていたスマホが振動した。
「どーぞ」
快斗が出てもいいよと促してくれて、スマホを取る。
零さんだ。
『もしもし?どうしたの?』
《今どこだ?》
『ジョギングしてて、カフェで休憩してる』
《僕も今から帰るんだが、買い物に付き合って欲しい》
『ああ、昨日言ってた年越しの準備?いいよ。スーパーの前で待ち合わせでいい?』
《わかった。向かう》
『はーい』
それだけのやり取りをして、通話を切った。
「彼女?」
『んー…ちょっと違うけど、同居人』
「…前一緒にいた男か」
快斗の零さんに対しての誤解が解けたのかは分からないけど…。
まぁ、ファーストコンタクトがバーボンだったから、警戒はまだしてるか…。
『そ。じゃあ、俺はこれで失礼するよ。今度はちゃんと連絡してね』
快斗の分のお金も机において立ちあがる。
『また来年もよろしく。よいお年を』
「…またな。よいお年を」
この世界で年を越すことになるとは思わなかったけど。
でも、この世界は何年目の年越しなのだろうか。
もしかして俺も、このまま歳をとらない、とか?
…あまり深くは考えないでおこう、と決めて喫茶店を出てスーパーへ向かった。
・
1309人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
096 - ayumigomaさん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけているようで嬉しいです!頑張ります!!これからもよろしくお願いします! (2019年6月7日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
ayumigoma(プロフ) - 楽しく読ませて頂いています。頑張って下さいね(〃ω〃) (2019年6月7日 0時) (レス) id: 364bfd5e94 (このIDを非表示/違反報告)
096 - りりこスタイルさん» ありがとうございます!これからも楽しんでいただける小説を書きたいと思いますのでよろしくお願いします! (2019年6月4日 12時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
りりこスタイル - いつも楽しませてもらってます。これからも応援してます。続き楽しみです! (2019年6月3日 22時) (レス) id: b80200442e (このIDを非表示/違反報告)
096 - シズキさん» そこまで言っていただけるとは…!本当に嬉しいです!!これからも、飽きさせてしまわないよう、試行錯誤して書いていきますので、よろしくお願いします!こちらこそありがとうございます!! (2019年6月3日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:096 | 作成日時:2019年5月23日 22時