335話 ページ36
『キッド、機動隊が突入して1階の5人を拘束したら、このボタンを押して防犯シャッターを上げて人質を逃がして』
戻ってきたキッドの気配を感じ、指示を出し、俺は防犯室にあった工具箱を持って部屋を出ようとする。
が、怪盗姿に戻った彼に腕をつかまれ阻まれた。
「…たいしたやつだな、あんた。警察、じゃないんだよな…?」
『…まだ警察だったら、お前を捕まえてるけどな。まぁ、怪盗は管轄外なんだけど』
「まだ、ね」
笑みを浮かべ、キッドは俺の手を離した。
「各階の見張りも蹴散らしといたぜ。これは借りだからな」
『覚えてたら返すよ』
振り返ってそう言って、すぐに6階まで非常階段で下った。
下では大勢の声が聞こえてくるから、無事にシャッターを開けて人質は逃げ始めたようだ。
キッドが倒して縛り上げた男の横に、プラスチック爆弾があった。
爆発まで、あと20分。
…万が一、ここで爆発したら他の家電も巻き込んで大きな被害になるかもしれない。
俺はカウントダウンを刻む爆弾を抱えて、非常階段を上り始めた。
向かうのは屋上。
もしも爆発しても、そこなら…。
屋上の扉を開けて、すぐに爆弾を置き、工具箱を開ける。
月明かりだけが頼りだ。
爆発まであと15分。
大丈夫。
爆弾解除を行うのは久しぶりだけど、ちゃんと覚えてる。
液体窒素があればいいが、爆弾処理班が到着するまでまだかかりそうだ。
大勢の人質が逃げてごった返している入り口から、爆弾処理班が上に上がってくるまでだと間に合わない。
蓋を開けて、コードの配置を確認する。
これは知ってる、よくあるタイプだ。
慎重に、コードに刃を当てて切断を始めた。
「黒瀬さん、どうだ?」
『っ』
集中していて気配に気づかなかった。
キッドが後ろから俺の手元を覗き込んでいた。
『あと、少し』
プツン…ッと赤いコードを切断すると、カウントダウンが止まり、電源が落ちた。
残り3分。
なんとか解除出来たようだ。
『はぁ……、なんとか、解除できたみたいだな』
力が抜けて、仰向けに倒れこむ。
『…人質たちは?』
「無事に全員保護されたぜ。犯人たちも全員拘束された」
『そうか…』
よかった、ちゃんと守れて……。
『……え』
寝転がって首をめぐらせた視界の先。
仮面ヤイバーのステージの下に、赤く光るランプが見えた。
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096 - ayumigomaさん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけているようで嬉しいです!頑張ります!!これからもよろしくお願いします! (2019年6月7日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
ayumigoma(プロフ) - 楽しく読ませて頂いています。頑張って下さいね(〃ω〃) (2019年6月7日 0時) (レス) id: 364bfd5e94 (このIDを非表示/違反報告)
096 - りりこスタイルさん» ありがとうございます!これからも楽しんでいただける小説を書きたいと思いますのでよろしくお願いします! (2019年6月4日 12時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
りりこスタイル - いつも楽しませてもらってます。これからも応援してます。続き楽しみです! (2019年6月3日 22時) (レス) id: b80200442e (このIDを非表示/違反報告)
096 - シズキさん» そこまで言っていただけるとは…!本当に嬉しいです!!これからも、飽きさせてしまわないよう、試行錯誤して書いていきますので、よろしくお願いします!こちらこそありがとうございます!! (2019年6月3日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年5月23日 22時