326話 ページ27
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「このバッグ、欲しかったのよね」
灰原が入ったのは、1階にあるブランドショップの店。
『小学生が持つような代物じゃないと思うけどなぁ』
「あら。小学生でも女性よ?」
『はは、年齢詐称のマセガキめ…』
「無職のヒモの貴方に、言われたくないわ」
『ヒモじゃねぇし。これでも貯金はたくさんあるから、自分でなんとかしてんだよ』
まぁ、無職は否定できないけどさ。
「じゃあたまには、女性に贈り物のひとつでもしてみる気にならない?これなんて、貴方からしたら安いものでしょ?」
そう言って、灰原はずっと持っていたバッグの値札を見せてきた。
30万円。
バッグにしてはなかなかの値段。
ブランド物に興味はないから、こういうものに手を出す女の気持ちはよく分からないけど。
『ふん、俺の貯金の3分の1にも満たないな』
「ちょ、Aさん、落ち着けって。灰原も、あんまり挑発すんなよ」
このままだと俺がバッグを買ってやると思ったのか、コナンが止めに入った。
「冗談よ。無職の人にたかるほど、困ってないわ」
『あはは、一言多いよ、灰原さん』
バチバチと俺と灰原の間に走る火花を、コナンは呆れたように見ている。
そのときだった。
明るかった店内が突然暗闇に包まれる。
「なんだ!?」
『…停電?』
どうやら、1階フロアの電気が落ちたらしく、ざわざわと喧騒が広がる。
《あー…、建物にいるやつらに告ぐ。このデパートは我々が占拠した。殺されたくなければ大人しくして、全員4階に集まれ。我々の要求は、警察に捕まった仲間の解放。18時までに成立しなければ、仕掛けた爆弾でここにいる全員道連れだ!》
耳障りな男の声による放送で、周りの客たちはパニック状態になり、我先にと出口へ向かって走っていく。
『あーあ。本当、君に関わると碌なことがない』
「それはお互い様だろ…」
「呑気なこと言ってる場合じゃないわ。屋上にはあの子たちがいる。貴方、なんとかできないの?」
『相手が何人かも分からないし、爆弾がどこに仕掛けられているかもわからない。とにかく、4階に行って、あの子たちの無事を確認しないと』
今の時間は16時。
タイムリミットまであと2時間か。
出入り口を見ると、シャッターが閉められ、もうこの建物からは出られなそうだ。
完全に閉じ込められた。
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096 - ayumigomaさん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけているようで嬉しいです!頑張ります!!これからもよろしくお願いします! (2019年6月7日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
ayumigoma(プロフ) - 楽しく読ませて頂いています。頑張って下さいね(〃ω〃) (2019年6月7日 0時) (レス) id: 364bfd5e94 (このIDを非表示/違反報告)
096 - りりこスタイルさん» ありがとうございます!これからも楽しんでいただける小説を書きたいと思いますのでよろしくお願いします! (2019年6月4日 12時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
りりこスタイル - いつも楽しませてもらってます。これからも応援してます。続き楽しみです! (2019年6月3日 22時) (レス) id: b80200442e (このIDを非表示/違反報告)
096 - シズキさん» そこまで言っていただけるとは…!本当に嬉しいです!!これからも、飽きさせてしまわないよう、試行錯誤して書いていきますので、よろしくお願いします!こちらこそありがとうございます!! (2019年6月3日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年5月23日 22時