233話 ページ34
「…お前は十分、この国のために頑張ったよ。今守りたいのは、あの人と、あの人が守る日本、なんだろ？」
『…そうだな。もう遅いけど。何もかも』
「…お前、あっちではまだ死んでねぇよ？」
『………へ？』
間抜けな声が口から出た。
死んで、ない…？
「一時的に体が消えただけ。お前、こっちの世界にまだ未練があるようだったから、向こうで意識がない間に、こっちに意識を持ってきたんだ」
『…つまり、またあっちに戻れる？』
「そういうこと。もしかして、俺が迎えに来たんだと思った？俺はただの案内役だよ」
『ここに留まりすぎるのはよくないっていうのは…？』
「向こうに戻りづらくなるからな。トリップっていうのは滅多に出来ることじゃない。懸命に生きた人間に贈られる、神様からのご褒美みたいなもんだ。つまり、選ばれたものだけに贈られる特権なんだよ」
そういう仕組み……、神様とか言われても、まったく頭が追いつかないけど。
『組織で汚いこともしたのに？』
「それも国のためだろ。…だから、あの世界だったんじゃねぇの？自分のしてきたことを生かせて、かつ、同じ立場の人間が傍にいる。その人を支えたいって、お前は生きがいを見出した。早く戻ってやらねぇと、あの人、随分疲れきってたぜ。毎日お前を探してる」
『！』
探して、くれているのか…。
「ほら、行くぞ」
歩き出した涼の後を付いて行く。
『涼、お前はいったい――』
「会うのはこれが最後だ。俺は輪廻転生する」
それは、生まれ変わるということ…？
「次何かあっても、もう助けてやれねぇから、無茶すんなよ」
振り返った涼はいつも俺に向けていた笑顔で言った。
この明るさに、よく助けられたものだ。
気づくと辺りは真っ白な空間。
「じゃあな、楓。…いや、A、か。元気でやれよ」
そう言って、トン…と涼は俺の胸を押した。
『え…？』
体に力が入らず、後ろに倒れる感覚。
あったはずの地面はなく、浮遊感に包まれた。
どんどん遠くなっていく涼の姿。
俺はそっと目を閉じた。
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優(プロフ) - わかりました！返信ありがとうございます！ (2019年5月8日 7時) (
レス) id: 2e7cf744fc (このIDを非表示/違反報告)
096 - 優さん» コメントありがとうございます！この作品は、主人公受けとなっております！ですが、細かい描写はございません。 (2019年5月7日 21時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - これって、黒瀬さんと零さん、どっちがネコとかありますか？ (2019年5月7日 2時) (レス) id: 2e7cf744fc (このIDを非表示/違反報告)
096 - 架印�靴気�» 報告ありがとうございます！！確認不足でした...！修正させていただきました！ (2019年4月30日 18時) (レス) id: 674cb05958 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 誤字報告：247話 - 真純ちゃんの純の字が、澄になってます。 (2019年4月30日 17時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：096 | 作成日時：2019年4月10日 21時
