1728話 キッドVS高明 狙われた唇 ページ29
「でも、そこまで読んでたんなら本物の指輪は回収しておくべきだったな」
そう言いながらキッドは導火線に火が付いたスモークボールを取り出し、それを床に投げつけた。
途端、辺りが真っ白な煙に包まれる。
「慌てるな!ただの煙幕だ!」
中森警部の指示に、煙幕が収まるまで動かない機動隊員たち。
出入り口は封鎖しているため、空調が煙を吸うのを待つ算段のようだが、キッドの気配は徐々に遠ざかっていく。
煙が晴れると、床のタイルの一つに穴が開いているのに中森警部は気づいた。
「なんだあの抜け穴は!」
「いつの間に!?」
「やはり逃走経路はそこでしたか」
諸伏警部はやはり見抜いていたらしい。
「あえて見過ごしたんですよ。怪盗キッドは目当ての宝石でなければ持ち主に返すと聞きましたから」
「おお、では後程私の元へ返ってくるわけですね」
ここまでの出来事を隅で達観していた宝石ブローカーの男が満足げに笑う。
「そらぁ、あんたが本当にあの宝石の持ち主だった場合や」
そんな男に服部が声をかけた。
「何?」
「あんた言うてたよな。あの真珠は三重県の英虞湾に眠ってたアコヤ貝の中にあって、真珠独特のオリエント効果の輝きに魅せられたって」
「あ、ああ…」
「せやけど、ホンマのコンクパールはメキシコ湾やカリブ海とかに生息しとるピンク貝からしかとれへんし、コンクパールは虹色に光るオリエント効果やのぅて表面に出る火焔模様っちゅう綺麗な曲線の模様が特徴や。つまり、あの宝石のホンマの持ち主はあんたやのぅて、昔おじいちゃんがカリブの大富豪からもろたって叫んでた、あの姉ちゃんのほうやっちゅうこっちゃ」
服部の推理に、男は動揺を見せる。
あとで事情聴取をさせてもらうと言う中森警部に、男は顔色を変えた。
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096 - つみさん» 一気読みありがとうございました!そしてお疲れ様です…!!もう一周…!嬉しいです!これからも頑張ります! (2022年1月1日 22時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
つみ(プロフ) - やっと最新話まで読めました!一気読み楽しかったです!もう一周してきますね!更新頑張ってください! (2021年12月31日 23時) (レス) id: 5c8f437fce (このIDを非表示/違反報告)
096 - ??さん» ありがとうございます…!何周もしていただいて嬉しいです…っ!これからもいろんなお話を書いていきますので、よろしくお願いします!! (2021年12月13日 22時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 今まで出会った小説の中で1番好きでもう何周もしています。何回読んでも泣ける素敵なお話で大好きです!緋色の弾丸や次の映画がこの小説にも登場するのが楽しみです!!これからも応援しています。 (2021年12月13日 11時) (レス) id: b0630737aa (このIDを非表示/違反報告)
096 - 伶さん» 初めまして!見つけて読んでくださり、さらには日課にしていただきありがとうございます!頑張って毎日更新してますので、これからもよろしくお願いします! (2021年12月10日 21時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2021年11月16日 22時