1727話 キッドVS高明 狙われた唇 ページ28
展示室の前で、諸伏警部や中森警部、そして鈴木相談役とも合流する。
やはり諸伏警部はキッドの犯行が完遂していないことに気付いていたようだ。
部屋の中では、こちらに人が集まっていることを気付く様子もない和葉の後姿があり、溶けた氷の中からコンクパールを取り出していた。
その背中に、スポットライトを当てると、ビクッとその肩が揺れた。
「鷙鳥累百、一鶚に如かず」
諸伏警部がそう切り出すと、和葉の姿のキッドは眩しさに目を細めながらも振り返った。
「鷙鳥とはツバメの事。そして、鶚とは鷹の事。つまり、ツバメが百羽集まっても一羽の鷹には及ばないという意味です。貴方はたくさんの指輪を氷の中に出現させて我々を攪乱し、氷の中央に大きな横穴を開け、まるで本物の指輪は盗んだかのように見せかけたかったようですが、私の目は誤魔化せません。偽りの指輪が百個あろうと、本物のコンクパールの美しさには到底及びませんからね」
「…なるほど。んじゃ、分かっててこっちの出方を伺ってたのか」
声真似をせず、和葉の姿でキッドの声が発せられる。
「ええ。どうせなら、盗むところを現行犯で押さえようかと」
「じゃ、当然この子が俺の変装だと気づいていたのね」
「もちろん。一人称が“あたし”から“ウチ”に変わっていましたし、膝を曲げて背を低く見せておられましたから。皆さんもお気づきになってましたよね?」
そう言う諸伏警部の問いかけに、中森警部も鈴木相談役も毛利さんも、そして服部も複雑な表情を見せながらも頷いた。
どうやら誰も気づいていなかったようだ。
気づいていたのは俺とコナンと諸伏警部のみ。
諸伏警部に至っては、今回が和葉と初対面のようだったが、一人称のことまで気づいていたとは…。
やはりかなりのキレ者だ。
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096 - つみさん» 一気読みありがとうございました!そしてお疲れ様です…!!もう一周…!嬉しいです!これからも頑張ります! (2022年1月1日 22時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
つみ(プロフ) - やっと最新話まで読めました!一気読み楽しかったです!もう一周してきますね!更新頑張ってください! (2021年12月31日 23時) (レス) id: 5c8f437fce (このIDを非表示/違反報告)
096 - ??さん» ありがとうございます…!何周もしていただいて嬉しいです…っ!これからもいろんなお話を書いていきますので、よろしくお願いします!! (2021年12月13日 22時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 今まで出会った小説の中で1番好きでもう何周もしています。何回読んでも泣ける素敵なお話で大好きです!緋色の弾丸や次の映画がこの小説にも登場するのが楽しみです!!これからも応援しています。 (2021年12月13日 11時) (レス) id: b0630737aa (このIDを非表示/違反報告)
096 - 伶さん» 初めまして!見つけて読んでくださり、さらには日課にしていただきありがとうございます!頑張って毎日更新してますので、これからもよろしくお願いします! (2021年12月10日 21時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2021年11月16日 22時