1712話 キッドVS高明 狙われた唇 ページ13
「つまり、さっきワシに妙な玉が転がっていると言っていた機動隊員がキッド…。さっきの隊員はどいつだ！」
中森警部が機動隊員たちに詰め寄る。
1人の隊員が胸倉を掴まれている横で、キッドは冷や汗をかいていた。
そんな彼と目が合う。
何か言いたげな視線に凝視しないように注意しながらも意識を向けた。
彼は手を下に下ろしたまま、一瞬小さく俺に伝えてきた。
中指から小指の3本の指を立て、人差し指と親指で欠けた丸を作っている。
あれは、英語の“W”と“C”を表した手話で、その通り“トイレ”を意味する。
……あいつ、まさか俺にトイレに来いって言ってるんじゃねぇだろうな…。
つーか、俺に変装するつもりか…？
もしそうだったら絶対断るけど。
…一人になるのは怪しまれるに違いないが…、ここはあいつの手に乗るのも一興か…。
返事をするように、俺も小さく指で丸を作った。
「しかしほんとに…こんな氷だけで大丈夫なのか？」
氷柱の前に立った中森警部が疑いながらもその中に閉じ込められた宝石を見つめる。
「ええ。私もそう思い、指輪のリングの部分をセンサー内蔵の物と取り返させてもらいました。なので指輪を持ってこの出入り口を通過すれば、警報音が鳴り響く算段ですよ」
そう得意げに語るのは指輪の持ち主だと言い張る男だった。
大方、そのリングを取り換えた際、本物のリングにレプリカのコンクパールをはめ込んで、あの女性に渡したんだろうけど…。
「しかもその扉の横には非常ボタンがあり、押せばロックがかかり、10分間は封鎖される。つまり予告時間の1分前にボタンを押しておけば、怪盗キッドの犯行予告は史上初めて失敗に終わるという寸法じゃわい。そしてワシが彼奴の犯行を阻止した記事が新聞にババーンと掲載され、今度こそ一面トップに返り咲いてくれようぞ!!ハハハハハ!!」
高笑いする鈴木相談役に、失敗フラグだな…と思いつつ、この相変わらずの厳重警備に加え、キッドキラーと西の高校生探偵、そして長野の諸葛亮孔明相手にあいつはどういう手を使ってくるのか楽しみになっている自分がいることに気が付いた。
怪盗の犯行を楽しみにするなんて、前の世界では考えられないことだが、これも今この世界にいる特権だろう。
俺もすっかり、あいつの奇術に魅せられてしまった1人のようだ。
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096 - つみさん» 一気読みありがとうございました！そしてお疲れ様です…!!もう一周…！嬉しいです！これからも頑張ります！ (2022年1月1日 22時) (
レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
つみ(プロフ) - やっと最新話まで読めました！一気読み楽しかったです！もう一周してきますね！更新頑張ってください！ (2021年12月31日 23時) (レス) id: 5c8f437fce (このIDを非表示/違反報告)
096 - ??さん» ありがとうございます…！何周もしていただいて嬉しいです…っ！これからもいろんなお話を書いていきますので、よろしくお願いします!! (2021年12月13日 22時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 今まで出会った小説の中で1番好きでもう何周もしています。何回読んでも泣ける素敵なお話で大好きです！緋色の弾丸や次の映画がこの小説にも登場するのが楽しみです！！これからも応援しています。 (2021年12月13日 11時) (レス) id: b0630737aa (このIDを非表示/違反報告)
096 - 伶さん» 初めまして！見つけて読んでくださり、さらには日課にしていただきありがとうございます！頑張って毎日更新してますので、これからもよろしくお願いします！ (2021年12月10日 21時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：096 | 作成日時：2021年11月16日 22時
