1701話 14番目の標的 ページ2
気を失った沢木さんをそのままに、コナンと毛利さんは蘭の元へ駆け寄る。
「そ…そうか、だからあのとき、毛利さんは撃ったんだ。犯人を逮捕するためじゃあなく、人質を助けるために」
一連の光景を見ていた白鳥警部が納得したように呟いた。
「ああ。足を撃たれた人質は、逃走する犯人にとってただの足手纏いにしかならんからな」
毛利さんに抱えられながら戻ってきた蘭は意識をかろうじて取り戻しており、過去の父親の意図を、夫婦の絆を理解したような清々しい表情をしていた。
『こほん…、警部さん方。沢木公平に手錠を』
わざとらしく咳ばらいをして、過去と今を振り返っている2人に声をかけた。
「は…っ!そ、そうだったな!」
慌てて2人は沢木さんの元に駆け寄り、その手首に手錠をかけた。
状況を把握したらしいパイロットもヘリをゆっくりと下ろしにかかっている。
「もし同じ状況になったとして、Aは撃てるか?」
唐突に、零さんがそんなことを聞いてきた。
『零さんが人質ってこと?想像できないし有り得ないんだけど』
「仮に、の話だ」
『出来るよ。零さんも出来るでしょ?』
「…そうだな。連れて行かれそうになるなら、毛利さんやコナンくんみたいに足を狙って阻止するし、もう手遅れだと気づいたら、僕の手で――」
『…はは。相変わらず病んでんね。次誰かに殺されるなら貴方がいいって、俺はずっと思ってたことだし構わないけど』
「病んでるのはどっちの方だ」
苦笑する零さんにつられて笑う。
『いずれにせよ、俺の今の目標は零さんと仲良く老衰だから。まだまだ先は長い。それまで死なないし、死なせねぇよ』
そう言って着陸したヘリまで歩き出す。
「…男前だな。本当に」
嬉しさを含んだ声がすぐに隣に並ぶ。
こうして俺たちは無事にヘリに飛び乗った。
その直後、崩壊が加速し、地上のアクアクリスタルも海に沈み始めたのだった。
「いやぁ、危機一髪だったなぁ」
崩壊したアクアクリスタルを見下ろしながら毛利さんが声を上げた。
「おじさん、ヘリコプター恐怖症、治ったみたいだね」
「あ?」
コナンにそう言われ、毛利さんは今の状況を思い出したようだ。
確か、高所恐怖症だったな…。
「うわあぁぁ!降ろしてくれぇぇ!!」
狭いヘリの中に情けない声が響き渡る。
『なんで思い出させてやるんだよ…。アドレナリン出てたっぽいのに』
「えへへ、ごめん」
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096 - つみさん» 一気読みありがとうございました!そしてお疲れ様です…!!もう一周…!嬉しいです!これからも頑張ります! (2022年1月1日 22時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
つみ(プロフ) - やっと最新話まで読めました!一気読み楽しかったです!もう一周してきますね!更新頑張ってください! (2021年12月31日 23時) (レス) id: 5c8f437fce (このIDを非表示/違反報告)
096 - ??さん» ありがとうございます…!何周もしていただいて嬉しいです…っ!これからもいろんなお話を書いていきますので、よろしくお願いします!! (2021年12月13日 22時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
??(プロフ) - 今まで出会った小説の中で1番好きでもう何周もしています。何回読んでも泣ける素敵なお話で大好きです!緋色の弾丸や次の映画がこの小説にも登場するのが楽しみです!!これからも応援しています。 (2021年12月13日 11時) (レス) id: b0630737aa (このIDを非表示/違反報告)
096 - 伶さん» 初めまして!見つけて読んでくださり、さらには日課にしていただきありがとうございます!頑張って毎日更新してますので、これからもよろしくお願いします! (2021年12月10日 21時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2021年11月16日 22時