1579話 14番目の標的 ページ30
「別に1人でも平気だっつの」
『お前も狙われてる1人かもしれないんだから、警戒くらいしろよな』
厨房へ向かう廊下を、そんな言葉を交わしながら歩く。
「この姿なら狙われねーよ…」
ムッとした様子のコナンが、厨房の扉を押し開けた。
その隙間から俺たちより先に厨房に向かっていた沢木さんの姿が見えた。
調味料が並んだ棚の前で、瓶を一つ手に取り、中の粉末を指先を使って舐めている。
ひと舐めした後、彼の瞳が悲し気に伏せられた。
瓶を棚に戻したとき、コナンが彼に声をかけた。
「ミネラルウォーターなら、冷蔵庫の下の引き出しだよ」
「ああ、ありがとう。珍しい調味料なんでちょっと味見していたんだ」
厨房に入った俺は、沢木さんが戻した瓶を見やる。
唐辛子だ。
それを確認しながら冷蔵庫を開け、オレンジジュースを3本手に取る。
1本をコナンに渡し、ミネラルウォーターのペットボトルを見つけた沢木さんと共に俺たちは厨房を出て、レストラン内に戻った。
『はい』
「ありがとう」
零さんに缶ジュースを渡し、俺もプルタブを開けて一口飲んだ。
未開封なのは間違いないし、飲んでも問題はないだろう。
「それにしても遅いよ、旭さん。何やってんだろう」
ワインを飲み終えた小山内さんがそう言った時だった。
「うっ…!ううっ…!!」
小山内さんの隣にいたフォードさんが突然喉を抑えて苦しみだした。
「な、何よ!どうしたの!?」
小山内さん含め、その場の全員がまさかという目でフォードさんを見るが、俺は小さくため息を吐く。
「う、うぅ…っ、は、ははは!冗談ですよ!」
パッと顔を上げたフォードさんは声を上げて笑う。
下手な演技に付き合うほど、こっちも暇じゃねぇんだよ…。
危機感のなさすぎる連中に、イライラが募る。
「真白が顔に出て来てますよ。抑えて」
零さんにそっと耳打ちをされる。
『分かってる…』
そう言いながらも持っていた缶がベコッとへこんだ。
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096 - ふぇおさん» こちらこそ、嬉しいお言葉ありがとうございます!寒暖差が激しいので、ふぇお様も体調にお気を付けくださいね。これからも応援よろしくお願いします! (2021年10月17日 23時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
ふぇお(プロフ) - いつも楽しみに読ませていただいてます!!!体調を崩さない程度に更新してくださいね、応援してます頑張ってください!!神作をありがとう!!! (2021年10月17日 0時) (レス) @page20 id: c548f35cab (このIDを非表示/違反報告)
096 - シオンさん» ありがとうございます!楽しんで頂けるよう頑張ります! (2021年10月3日 21時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 096さん» 映画ストーリーは好きです、頑張って下さい (2021年10月2日 16時) (レス) @page6 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
096 - シオンさん» ありがとうございます!! (2021年10月1日 23時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2021年9月28日 21時