【名探偵コナン】異世界の訪問者18《男主》

890話 ページ41

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くそ。
思いきり殴りやがって…。



…暗号はうまく伝わっただろうか。

零さんがあの場にいれば、気づいてくれるはずだけど…。



伝わったとしても、近くにある建物を教えただけだ。
詳しい場所までは伝えられていない。


犯人共は、俺の暗号には気づいていないようだから、警戒はされていないだろう。



3人組のリーダーはおそらく、俺をさっき殴った男だ。
それに比べて、彼に指示を受けている2人はどこか素人臭い。


素人の方を突けば、ボロを出すかもしれないな…。




今この部屋にはその素人と思われる一人の男がいた。





『お兄さん、名前なんていうの？』


不意に話しかけると、男はビクッと肩を跳ねさせた。




「なんだ、急に。言うわけないだろ」

『あはは、だよね』

「…お前、なんでこんな状態で笑えるんだよ。普通もっと怯えるだろ」

『慣れてるから、こういうの』



何でもないといった風に肩を竦める。




「…なるほど。ま、その容姿じゃ苦労しそうだもんな」

『そうそう。ほんと、参っちゃうよ』


困ったように笑うと、男はわずかに警戒を緩めた。






『…身代金が用意されてもされなくても、俺は売られるんでしょ？だったら最後に、お願いがあるんだけど』

「…お願い？」

『…美和子…、婚約者と直接話したい』



俺の暗号が伝わっているとしたら、そろそろだ。





「…いいだろう。待ってろ」



うまく同情を引けて、こちらの思惑通りに動いてくれた。







残りの2人は別室にいる。


今生の別れの言葉くらいは許してくれるだろう。





うまくいけば、これで終わりだ。






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