【名探偵コナン】異世界の訪問者18《男主》

874話 ページ25

『…すみません、北條さん。今回のお話ですが――』

「あ、いや！分かってます！祖母が押し切ったんですよね…。ご迷惑かけてすみません…。跡継ぎが欲しくて焦っているみたいで…」



跡継ぎ…、というとやはり…。





『失礼ですが、もしかして北條財閥の…？』

「は、はい…。そうです…」



鈴木財閥ほどではないが、名が知れた財閥の一つだ。


それなら今回の急な見合いや、椿さんの礼儀作法も頷ける。





「私、1人の女性として恋をして、結婚するっていう夢があるんです…。でも毎回祖母がこうして場を設けるものでして…」

『大変ですね。お婆さまの方には私の方からお断りの言葉を入れさせていただきますので、安心してください』



彼女にその気がないのなら、この話はすぐに破談になるだろう。





『じゃあ、お婆さまを――…』


呼んできます、と立ち上がったが、料亭の中にある不穏な気配に動きを止めた。






「ど、どうしたんですか…？」

『…静かに。…下がってください』



彼女を庇うように前に出る。



どたどたと廊下からあわただしい音と、店のスタッフが静止を求める、悲鳴に近い声が聞こえてきた。






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