【名探偵コナン】異世界の訪問者14《男主》

683話 紅の修学旅行 ページ34

「最初に西木さんに送られてきた暗号の冒頭は、上京区坤高(こんたか)町の“坤”、中京区蟷螂山(とうろうやま)町の“螂”、上京区筋違橋(すじがいばし)町の“筋”、右京区化野(あだしの)の“野”、左京区上終(かみはて)町の“終”。その文字の最初の1文字を繋げて読むと、“ころすのは”、つまり、“殺すのは”になる」

「たまに入ってる逆さになった“先”っちゅう字は、中京区の先斗(ぽんと)町の“先”やから、逆さにしたら、“んぽ”で、“ん”だけ読んだらええ。せやから、最初の暗号の意味は、“殺すのは3人。まずはシナリオだ”になるっちゅうこっちゃ！」

「同じように、西木さんの懐に入ってた2番目の暗号を読むと、“殺すのはあと2人。次は主演だ”になる」

『3番目の暗号は“殺すのはあと1人。最後は私が舞台から落ちよう”って感じだな。馬山さんを投身自 殺に見せかけたあと、その暗号を馬山さんの遺書にするつもりだったんだろうけど、自 殺する場所を書いてくれていたおかげで、こうして先回りできました』


そう突きつけると、阿賀田さんは顔を伏せ、小さく呟いた。


「の、呪いだ…」

「ん？」

「呪いだよ！僕にこんなことをさせたのは、全て何かの呪いのせいなんだよ」



…こいつ、まだ認めないつもりか。



「だって見ただろ!?西木の部屋の天井…！あんなの10分足らずで人間にできるわけが…」

「静電気付箋」


新一の言葉に阿賀田さんはハッと目を見開いた。



「静電気の力で、どんな壁や物にも接着剤なしで貼り付ける事ができる。西木さんが脚本の直しに使っていた付箋を利用したんですよね？」


阿賀田さんはギクッと表情を強張らせる。


「まず貴方は犯行前日にあの部屋に泊まり、天井に足跡と血飛沫を絵の具で描いて乾かし、静電気付箋を天井一面に貼って覆い隠しておく。もちろん次の日も、喫煙部屋であるその部屋を予約するのを忘れずに。それと同時に、他の喫煙部屋も全て予約しておき、西木さんが予約の電話をかけたタイミングで血飛沫を描いた部屋をキャンセルすれば…、西木さんをその部屋に宿泊させることができる。そして西木さんを殺害した後、棒か何かで天井をなぞれば…付箋は剥がれ落ち、その落ちた付箋を西木さんの脚本をばら撒いて誤魔化した。あとは、西木さんの血を注射器で吸い取り、天井に描いた血飛沫の中心に吹き付けたってところでしょうか？」



新一の推理は、確実に阿賀田さんを追い詰めた。


・

684話 紅の修学旅行→←682話 紅の修学旅行

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す