660話 紅の修学旅行 ページ11
『……はぁ』
心を落ち着かせるために息を吐き出す。
「熱々だな。飛び火で火傷しそうだぜ」
『うるせー……。そっちこそ、ロンドンで告白なんて大胆なことかましてるくせに』
「っ!」
カウンターをかけてやると、今度はコナンの顔が真っ赤に染まった。
『返事はまだ貰ってないの?』
「…おう」
安心しろ。
誰がどう見ても両想いだから。
『…OKもらえたら、付き合うつもり?』
「…そりゃ、な」
まぁ、そういうもんだろうな…。
『蘭さんをまた待たせることになっても?』
「………」
黙ってしまったコナン。
ちょっと意地悪しすぎたかもしれないな。
『…大切な存在を作るというのは、相手を危険に晒すって事だ』
工藤新一が生きていているとバレたとき、蘭の存在は確実に新一の弱みになる。
『俺達もそうだ』
俺と零さんも、同じようなものだ。
俺の存在が、零さんの足を引っ張る。
『いつか、どちらかの手を離さなければならないときが来るかもしれない。もしくは、一緒に谷底まで落ちていくか。…君にはその覚悟があるの?』
組織の壊滅という目的のために、どちらかを犠牲にするか、ともに朽ち果てるか。
俺と零さんはそのギリギリのラインに立っている。
新一と蘭も、遠からず似ているそのラインに足を踏み入れようとしている。
その覚悟があるのかという問いかけに、コナン――いや、新一は力強い目を俺に向けていた。
瞳に篭る熱に思わず息を呑んだ。
「俺は蘭の手を離すことはしねぇし、一緒に死ぬなんてこともしねぇ。組織を壊滅させて、体を元に戻す。もちろん蘭は絶対に守る。その覚悟ならある」
『――…は、…たいした奴だよ』
さすが、主人公というだけあるな。
『なら俺からはもう何も言えないな。あとは身を任せるだけだ』
「……なぁ、聞きたかったんだけど…」
『ん?』
言い辛そうにコナンがもごもごと口を開いた。
「…安室さんと…どこまで、シたんだ?」
『………子供がそんなこと聞いちゃいけません』
「こんなときだけ子供扱いかよ!」
『高校生も子供ですー。だいたいまだ17歳でしょ。教えません。明日も早いんだから早く寝ろ』
もう何も答えません、とばかりにガバッと布団を頭まで被った。
「ちぇっ」と舌打ちが聞こえたが、コナンも寝ることにしたようでその後は静かな夜を過ごした。
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096 - ちぃさん» 読んでいただきありがとうございます!深く考えていただき、嬉しい限りです…!人の数だけいろんな行動の仕方があると思います。葛藤の中で得た黒瀬の決意を、これからも見守ってあげていてください! (2019年12月22日 21時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 別れたからってなにもしないのではなくて、世界を変えれないのなら影からサポートしたり守ったりするかも、、、。唯一の方法かなと思いました。 (2019年12月22日 1時) (レス) id: 13503def23 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - やっと読めました、自分ならどーするか考えました。大好きな世界の均衡を保つ為、大好きな人を守る為にも、零さんから恨まれるくらいに嫌われてから別れるかなーって。全てが終わった時にもう一度始めからやり直す選択をするかも知れないですね。 (2019年12月22日 1時) (レス) id: 13503def23 (このIDを非表示/違反報告)
096 - りんねむさん» コメントとお気遣い、ありがとうございます!一気読みお疲れさまでした!これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2019年12月17日 14時) (レス) id: e8c1cec671 (このIDを非表示/違反報告)
りんねむ(プロフ) - 初コメ失礼致します。ここ数日で最初から一気に読んじゃいました!とっても面白いです!無理なさらぬよう、更新頑張って下さい!陰ながら応援しております!(*^^*) (2019年12月16日 18時) (レス) id: 529938dd30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:096 | 作成日時:2019年11月26日 23時