【名探偵コナン】異世界の訪問者12《男主》

583話 ページ34

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『零さんっ…！』


スーパーから何も買わずに、バイクに跨り警察病院まで走った。


教えてもらった個室に駆け込むと、風見さんと点滴の管に繋がれ、頭に包帯を巻いた零さんが眠っていた。



『一体何が…』

「追っていたテロ組織を捕獲する寸でのところで、やつらが仕掛けていた爆弾が爆発したんだ。降谷さんはそれに巻き込まれて頭を強く打ってしまった」



零さんの傍らに控えていた風見さんが、神妙な面持ちで説明してくれた。




『どうして…、零さんは現場に出るはず…』

「最初はその予定で遠くから指示を出していたんだが、施設の中に子供の人質がいることが判明して…。その子を助けるために降谷さんは裏口から施設に侵入したんだ」

『…それで？』

「子供は無事救出。怪我もない。施設は爆破されたが、組織の人間も全員拘束した」

『でも零さんだけ…』


風見さんは悔しそうに唇を噛み締め、拳を握り締める。



「人質がいたことにも、爆弾を仕掛けられていたことにも気づかなかったなんて…情けない…」

『…風見さんのせいじゃないです。悪いのはこの国を脅かすテロ組織…。それを未然に貴方達は防いだ。一人の犠牲や負傷に、いちいち感傷的になってる暇はないはずでしょう？』



俺の言葉に風見さんは目を見開く。




「き、君は…降谷さんがこんな状態になっているのにそんなことが言えるのか!?」


俺達が守るのはこの国であって、市民ではない。

…いや、この言い方だと語弊があるか。
ひとりひとりに目を向けている余裕はないのだ。




『それが公安という組織だ。いちいち気にしていたら、身が持たないぞ』

「君は、一体…」



風見さんが困惑したように俺を見つめる。




『あっ、すみません、偉そうなこと言って…』



俺はもう公安でもないし、風見さんの上司でもないのに、さすがに今のはしゃしゃりすぎだ。





「…いや、すまない。こちらも少し感情的になってしまった。…しかし、やはり君は降谷さんに似ているな…。思わず背筋が伸びたよ…」



メガネを上げて風見さんは肩を竦めて苦笑した。




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