【名探偵コナン】異世界の訪問者《男主》

38話 探偵たちの夜想曲 ページ39

毛利さんが樫塚さんにメールを出すと、すぐに返事が返ってきた。

どうやら、コナンを人質にして逃げたらしい。

まぁ、コナンは自ら付いて行ったようだけど…。


「あのガキがこっそり居場所を教えてくれりゃ…」

「そうだ、阿笠博士なら分かるかも！」

「え、阿笠博士？誰です？その人」
　

わざとらしく、安室さんはそう言った。
俺がコナンにスマホを貰ったとき、彼は傍にいた。
あのとき阿笠博士の名前が出たから知っているだろうに。



「コナンくんの知り合いで、コナンくん、いつも発信機付きの探偵バッジ持ってるんですけど、それを追跡できる眼鏡を、その博士が作って持ってるんです」

「ほぉ、そんなに便利なものがあるなら、ぜひ」
　

蘭はすぐに阿笠博士に連絡を取った。

用件を伝え終わったとき、キャッチホンが鳴り、阿笠博士との通話を切って、蘭は電話に出た。


「もしもし……、世良さん！」
　

電話の向こうからはまたあらぶった声が聞こえた。



「黒瀬さん、知っていましたよね、二人が出て行ったこと」

　
俺にしか聞こえない距離で安室さんが聞く。


『…なんのことですかね』

「圭さんが部屋を出て数分後、貴方は玄関の方を少し気にしていたようでしたから。それと、どうしてあの遺体が、死後一日強だと分かったんです？」

『…勘ですよ』

「いえ、それは違いますね。普通の人間なら、死後何日経ったかなんて、一目で分かりませんよ。それに、遺体を見ても貴方はさほど驚かなかったどころか、躊躇わずにそれに触れ、脈を確かめた。…慣れているんでしょう？遺体を見るのに」
　

それには何も答えなかった。
だが、心臓はバクバクと音を立てる。


「僕が、貴方の正体を暴いてみせますよ」

『…俺だって、負けませんよ』
　
挑発には、挑発で返す。
　
今、元いた世界に戻ったならば、すぐに安室透について検索したいところだ。



「でも、今君は僕の助手という立場だ。その観点から、何か気づいたことは？」



『…この家、樫塚さんの自宅じゃない』


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