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31話 探偵たちの夜想曲 ページ32

「ほ、本人?」

「いるんですよね、黒瀬さん」

『……トイレから、気配がしてます。たぶん、二人』
 

これも勘だ。
でも俺の直感は外れたことがない。
 

昔はよく、警察犬並みの嗅覚とからかわれた。
その勘の強さと、嘘を見抜く直感力を高く買われ、俺はテロ組織に潜入することになったのだ。
 

トイレからは二人の気配。



「先生がトイレに入ろうとしたとき、丁度返信が来ましたよね。そして、コナンくんがトイレに入ろうとしたときも…」

「それに、トイレの前の床にさ、何かを引き摺ったような痕が付いてたよ?」

「そう。おそらくその誰かは、何らかの理由で依頼人を連れ込み、まだ隠れているんですよ。あのトイレの中にね」
 


そのとき、パァンッと銃声が響いた。
 

誰よりも先に駆け出したのは、コナン。
 

一方俺は動けないでいた。

銃声が、あの時の記憶と重なる。
 

俺の心臓目掛けて発砲されたあの瞬間。
 

ヒュッと、呼吸が乱れる。

俺は、生きているのか…?



「黒瀬さん!」
 

ハッと我に返ると、安室さんが俺の肩を掴んで揺さぶっていた。



『あ、むろ…さん…』

「しっかりしてください」

『俺…生きてます、か?』

「…?…生きてますよ、大丈夫です」
 

安室さんは一瞬眉を寄せたが、すぐに優しい言葉で俺を宥めた。



「様子を見てきます。座っていてください」
 

俺をソファに座らせ、安室さんもトイレに入っていく。
 


……情けない。
何度も聞いてきた銃声に、今更足が竦むなんて。
 
俺に向けられた銃口じゃないのに、どうしても思い出す。
 
やっぱり間違いなく、俺は一度死んでいる。
 

服の上から、心臓の辺りをぎゅっとつかんだ。
穴なんて、開いてない。血も出ていない。
 

でも確かにあの時俺は、自分の胸から飛び散る血を、息が出来なくなる苦しみを、スローモーションで見て、感じた。
 

今まで何度も聞いてきたあの音が、自分に向けて発せられたあの瞬間がフラッシュバックして、情けないことにこんな状態になるなんて。



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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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096 - ゆずりはさん» 返信遅くなってしまいすみません…!2週目嬉しいです!改めて楽しんで頂けると幸いです! (12月5日 20時) (レス) @page23 id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずりは(プロフ) - 2週目読ませて頂きます!黒瀬くんめちゃくちゃ好きです!♡ (11月14日 20時) (レス) @page2 id: c114e89f61 (このIDを非表示/違反報告)
096 - はるさん» 返信遅くなってしまい申し訳ありません!2回目読んでいただきありがとうございます!!ハロと出会うのは444話です! (2022年9月13日 15時) (レス) id: 5783aede03 (このIDを非表示/違反報告)
はる - すごく面白いです!!!ストーリー読みやすくて、2回目を見てます((笑。 聞きたいことがあって、ハロと出会うシーンって何話でしたっけ?思い出せなくて、、、 (2022年8月11日 17時) (レス) id: 9c65c52711 (このIDを非表示/違反報告)
096 - みこさん» ありがとうございます!とても長いですが、ぜひ楽しんでください! (2019年8月21日 22時) (レス) id: d9ca70487a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:096 | 作成日時:2019年1月30日 17時

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