【名探偵コナン】異世界の訪問者《男主》

15話 -Side降谷- ページ16

-Side 降谷-


　
彼、黒瀬Aを家に入れるという行為は、自分でもどうかしていると思う。
　
安室透は偽りの姿。
本名は降谷零。
公安警察、ゼロの一人。
　

安室透の姿で私立探偵とポアロでアルバイト。
そして、コードネーム、バーボンとして、ある組織でも動いている。
　
そんな3つの顔を持っている僕が、他人を家に入れるなんて。
それも今日会ったばかりの人間を。一歩間違えれば命に関わる。
　

でも彼がそんな人間だとは思えなかった。
　

昼間、子供たちと共にポアロにやってきた青年は、家もなければ所持品もない。
家族も昔に亡くしている。

どうしてここにいるのか分からないと言う。
　

だが彼の意識はハッキリしていたし、自分自身のことも分かっている。
とても記憶障害だとは思えなかった。

何かを、隠している。直感的にそう思った。
　

子供達や蘭さんの会話の中から、彼の名前が黒瀬Aだと知った。その名を証明するものは何もないが。
　
蘭さんに家に泊まってもいいと言われた彼は、戸惑いながらもそれを断った。
　
女子高生がいる家に泊まることに躊躇したのだろう。
　

そのことから、下心や物取りを目的としているような人ではないと確信できた。
　

家や自分を証明するものがないことは本当なのだろう。
　
それに、彼の言動を観察しているうちに、自分に似た何かを感じたのだ。
　
それを感じた瞬間、僕は動いていた。


「もしよければ、僕の家に来ますか？」
　

自分でも、何を言っているんだと思った。馬鹿かと。
公安の部下である風見に言ったら、間違いなく何を考えているんですか!?とどやされるだろう。
　
彼は最初は断ったが、一日だけ、と了承した。
　


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