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久方振りの外の空気はとても新鮮だった。
日はもう傾きかけていたが、彼女にとってはそれでも十分時間はあるように思えた。
「お金...は余り手持ちが無いから考えて使わなきゃ」
ポーチを握り締めたAは軽快に歩き出す。
行き交う人の話し声、お店から微かに流れてくる食べ物の美味しそうな香り、久方振りの感覚に心を躍らせている...と。
がっ!
突然延びてきた手に肩を掴まれた。
「きゃ!!!!!」
「わあ!!!あ、あれ.....?女性....?」
「な、なんですか突然....!」
「す、すいません、人違いでした」
額に痣のある少年は、そう言うと申し訳なさそうに頭を深々と下げ、私に背を向けた。
ーーーーあの隊服..どこかで見覚えが......
「待って、貴方、もしかして鬼殺隊のお方?」
「!?貴女、鬼殺隊をご存知なんですか?」
そうだ、思い出した。
あの隊服は鬼殺隊、私の家に用心棒として来てくれていた人と同じなんだ。
「........立ち話もなんですし、そこの茶屋でお話しませんか?」
ーーーーーーーー
「炭治郎くんは鬼殺隊に入隊したばかりなんですね」
「えぇ、実は...」
人懐っこい笑い方をする子だなと思った。
屈託のない笑みを浮かべる彼はきっと、誰からも好かれているんだろう。
「Aさんは、どうして鬼殺隊をご存知なんですか?」
「....ずっとお世話になっていたので...私、どうやら稀血という鬼の大好物の持ち主らしくて、小さい頃から鬼に狙われることが多かったらしいんです」
「それは......大変でしたね」
炭治郎くんが湯呑みを握る手をぐっと強めるのが分かった。
彼の話曰く、やはり稀血の持ち主はそうでない人の倍以上命を狙われるのだそうだ。
「.....そういえば、炭治郎くん」
「はい、なんですか?」
「さっき、私と誰を間違えたの?」
そう問いかけた瞬間
彼の目の色が変わった。
「俺、家族の仇の鬼を探しているんです。いつか必ず俺の手で皆の仇を打とうと思っているのですが...とても用心深い奴なので....」
「そう.....なの....」
「それで........その、こんな事言ったら貴女にとても失礼なのは重々承知なのですが」
ばくばくと心臓の音がうるさい。
「貴女から、その鬼と同じ匂いがしたんです」
より一層心臓が大きく跳ねる。
確信した、彼の仇である鬼は月彦さんだ。
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舞(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ (2021年2月9日 0時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 続きを楽しみにしてます!! (2020年11月8日 13時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
ぼたんあめ(プロフ) - この小説とっても好きです!更新応援してます♪ (2020年10月27日 7時) (レス) id: 07fb25626d (このIDを非表示/違反報告)
えむ(プロフ) - 初めまして突然すみませんこちらのお話読ませていただいたのですが見ていてとても続きが気になりました!更新頑張ってください、楽しみにしています! (2020年2月1日 20時) (レス) id: 41deac151f (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - 無限城が無惨城になってますよ。気になってしまってすみません。 (2019年11月16日 23時) (レス) id: f2976f8dda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:旧華 | 作成日時:2019年11月2日 0時