☆ ページ23
岩本「完全に倒したみたいだな」
照がゾンビを動かないのを確認していると康二と蓮､亮平がやって来た。
阿部「うわぁ…また､派手にやったね…」
亮平が苦笑いしながら検査キットを出しているとうしろからパタンと音がした。
辰哉たちが振り向くと康二が倒れてしまっている。
深澤「あっ…初任務の康二には刺激が強すぎたかな…」
岩本「目黒､先に向井を連れて帰って医務室のベッドで寝かせておけ」
目黒「了解…」
蓮が康二を引きずりながら車に乗せ本部に戻って行くと検査キットの組み立てに集中していた亮平が康二と蓮がいないことに気がついた。
阿部「あっ…康二､倒れた？」
岩本「ああ…今､目黒が本部に連れて帰っている｡それより､データを早く取れ」
阿部「了解｡ふっか､パソコンを持ってて」
亮平はノートパソコンを辰哉に渡すと銃型の検査キットを持ってゾンビの亡骸の前に行き拝むように手を合わせる｡
それは医師である亮平のゾンビに対する精一杯の弔いの行動だった｡
阿部「最後にデータを取らせてもらいますね」
手を合わせ終えた亮平がをキットをゾンビに向けて分析機能と通信機能がついた針を発射させる｡
ゾンビに針が刺さるとパソコンに次々とデータが送られて来た。
深澤「やっぱり新しいタイプのウイルス？」
阿部「うん…また､変異してる…」
岩本「ウイルスって早く変異するのか？」
阿部「確かに地球上のウイルスでも人に感染していくうちに変異はするけど､それにしても変異速度が速すぎると思うよ｡既にあるデータでも二十種あるから少なくとも三十種のゾンビウイルスがあると考えた方がいいね」
渡辺「強いのがいたらどうしよう…」
佐久間「強いのが来ても倒せばいいだけだ」
渡辺「大介はいいよ…戦闘力高いから…」
阿部「よし｡データは取れたよ｡次は採血して血液のサンプルもらうね」
亮平はゴム手袋をつけると採血用の注射器を出してゾンビに刺し採血する。
深澤「さすが手早いね」
阿部「まぁ…一応､救命救急医してたからね」
佐久間「じゃあ､ゾンビに手を合わせたり血を取るときに話しかけるのも医者だからか？」
渡辺「ちょ…大介!!阿部ちゃん先生､ごめんね…」
阿部「大丈夫｡最後くらいは医者として人間らしくあの世に送ってあげたいから手を合わせたり優しく話しかけたりしているんだ｡照､終わったから処理部隊呼んでいいよ」
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作者名：fuotomi | 作者ホームページ：https://twitter.com/fuotomi2
作成日時：2020年8月16日 0時
