事件 ページ26
｢あちゃー、、｣
梅が脱衣所に行ってる間にスマホが鳴った。
LINEではなく電話の通知音だったため、梅に持っていこうとスマホを持ち上げた時に見えた女性の名前。
別に女の人と連絡取ってようが構わないんだけど、その女性が…なんか、その、、、梅に気があるんじゃないかなぁってずっと思ってた人だった。
｢梅？電話、｣
大切な連絡かもしれないし、梅に渡す。
梅｢ん？誰？｣
｢れなさん、って人、｣
梅｢あぁ、｣
呆れたように笑いながらスマホを受け取り、｢はい、｣って出る。
とりあえずそこにいても仕方ないからリビングに戻る。
ソファーに座ってお笑い芸人が出てるテレビを見るけど内容なんて全く入ってこなくて、
｢電話、｣
梅は電話嫌いなのにな、
梅｢終わったよ｣
｢わっ！あ、｣
ソファーの上で膝を抱えて膝に顔を埋めてたら耳元で言われてびっくりした。
何となく嫉妬してるなんて知られたくなくてテレビの方を向く。
梅｢拗ねてるの？｣
｢拗ねてない｣
梅｢妬いてる？｣
｢妬いてない｣
梅｢じゃあこっちみて｣
｢やだ｣
梅｢なんで？｣
｢今テレビ見てるの｣
梅｢テレビと俺どっちが大切？｣
｢……梅、｣
梅｢じゃあこっち見て｣
｢……｣
口で梅に勝てるわけなかった。
渋々顔を向けると両手でほっぺを挟まれる。
｢なに｣
梅｢可愛い｣
｢なっ？！｣
急に言われて顔が赤くなる
梅｢俺の奥さんが世界一可愛い｣
家に帰ってくると付ける結婚指輪と常につけてるペアリングがほっぺにあたって少しだけ、ほんの少しだけ痛い。
梅｢心配しないで。俺はAにしか興味無い｣
｢むこうはあるかも｣
梅｢じゃああの人は叶わない恋をしてるんだね｣
そこまで言われちゃったらこっちはもう言えないじゃん。
梅｢大丈夫だって。｣
優しく笑って私を抱きしめ、頭を撫でられる。
梅を信用してないんじゃない。女の人の方を信用してないのだ。
私のだもん。梅は、私のだもん。
私だけの旦那さんだもん。
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作者名：ふわり | 作成日時：2021年8月21日 7時
