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二個目 ページ3

まだ朝練のある人達もいない校舎に入り、三年の下駄箱に向かいあの人の扉を開けた。

もう見飽きた。でも飽きはしない。

鞄から画鋲の入ったケースを出し、数個靴に放り込む。なるべく存在感を放つように手前に寄せて。
扉を閉じれば、これで第一段階は完了だ。


それから教室へ行って自主勉をしたりと時間を潰したら、男子バレー部の体育館へ向かった。

下駄箱を過ぎ、運動部のジャージを着た人達が歩き出しているのを横目に渡り廊下を過ぎ。
全てを通り過ぎて着いたのは体育館の裏手。


「しっかりアップとれよー」
「はいっス」


朝から大変だな。
朝練と午後練、似たような部活内容だが、決定的に違うのが女の子の黄色い歓声がないこと。集中を削がないのか何度疑問に思ったことか。
そんなことを思いながら見つからないよう下窓から覗く。そしてたくさんの人達の中から捜すのは彼の姿。


「岩ちゃん今日帰り肉まん食べて帰ろ」
「もう帰りかよ。お前奢りな」
「なんで!?マッキーとまっつんも誘うつもりだったんだけど!!」
「後輩も誘うか」
「懐が」


大抵一緒にいる人は決まってるようなもんだ。片方捜せば片方も見つかる。幼馴染みの岩泉さん。

羨ましいのは仕方ないことだ。

まだバレてない。それを確認すると、少しして教室へ戻るべく来た道を帰った。


気付けばもう一般生徒が登校してくる頃。


すれ違うのも仲良さげに友達と歩く姿を見るのもあまり好きではない。


「……あ」
「どうしたの?」
「あの子さ、いっつも一人ぼっちだよねー……」


通り過ぎた頃、後ろから女の子の声が降りかかる。


「あー、隣のクラスの子でしょ?なんだっけ、Aさん?」
「なんか暗いっていうか……友達いないんだろうね可哀想」


本当にこの感覚は嫌いだ。私のことはいいから彼の話でもしておいてよ。

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水野ひのは(プロフ) - 緋鞠さん» 緋鞠様ありがとうございます。少しでも良かったと思って頂けたなら嬉しいです!きっと大変綺麗な心をお持ちなんですね。ありがとうございます!頑張らせて頂きます! (2020年1月29日 18時) (レス) id: 8eec0cab53 (このIDを非表示/違反報告)
緋鞠(プロフ) - コメント失礼します。題名で気になり読んでみたら、いつの間にか泣いていました。素敵な作品をありがとうございます。これからも頑張ってください。 (2020年1月29日 17時) (レス) id: 207604f612 (このIDを非表示/違反報告)
水野ひのは(プロフ) - 風華さん» ドラゴンフルーツというのもありですね!大丈夫ですドラゴンフルーツと答える方もかなりいます。正常です。私の父は迷わず赤飯と答えました。これは異常です。コメントありがとうございます。 (2020年1月2日 16時) (レス) id: 8eec0cab53 (このIDを非表示/違反報告)
風華(プロフ) - 初コメ失礼します!赤い果物で思いついたのがドラゴンフルーツだっんですけど…私の方がおかしいですかねw (2020年1月2日 11時) (レス) id: a3f48bb6df (このIDを非表示/違反報告)
水野ひのは(プロフ) - ティラミルクさん» ティラミルク様丁寧なご指摘ありがとうございます…!わっ、目なんて根も葉もないですね…。修正させて頂きました。拙い作者ですのでまた何かあれば言ってやってください! (2020年1月2日 0時) (レス) id: 8eec0cab53 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水野ひのは | 作成日時:2019年12月29日 11時

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