獣と ページ9
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俺の愛する人は、とても大きくて、とても優しい。一見、クールで大人っぽいのにまるで子供のように笑い、俺と遊んでくれる。
彼は俺とよく似ている。こんな風に産んでくれた親には感謝だ。
今、目の前に俺の愛する裕翔が愛してやまない やま がソファに上半身預けてうたた寝をしている。
いつも子供のような裕翔が、この人と二人きりになると、途端に甘い空気を出してこの人にグルーミングし始める。
そして時々、俺達と同じ気配を纏ってこの人に食らいつく。
白い肌、柔らかな髪、目、鼻、耳、唇、どこを取っても完璧な形。
綺麗だな。
種族が違ってもそう思う。
つい、俺は裕翔がするように、眠る彼の耳裏をそっと舐めた。
すると彼は「ん……」と背を震わせた。
まるで俺は裕翔になったかのようだ。
嬉しくて、俺は裕翔を真似て、今度は眠る人の髪に鼻を擦り付け、うなじを優しく舐め上げた。
「んんっ……ゆ、と?」
うーれーしーいーっ!!
調子に乗って、俺は眠る人の背中に裕翔がするように、いそいそと覆いかぶさった
……ら、そんな俺の鼻先に、この人を愛する俺の番いの顔が現れ、怒りに満ちた眼差しで俺の目をジーーーッと見た。
……あ、いや……これは誤解で……
お、俺は単に、裕翔になってみたくて……
と、言い訳する間もなく、番いの彼は唸り声を上げて俺に飛びかかって来た。
なーにしてんだ、おまえはよっ!
わー?!違うよっ!誤解だって!
ざけんなっ!よりにもよって、この人にっ!
い、いや、してないよ?この人しか!いや、この人にはっ!いや、この人とはっ!あ、あれ?
おまえ、どこでどんだけやらかしてんだよっ?!
俺達がわんわんキャンキャン騒いでいると、そこに裕翔がやって来て「こらー!おまえ達、何やってるの?」と騒ぎに加わっ……いや、俺達を止めに入った。
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はなこ(プロフ) - しろくまさん» ワンシチュかっけぇ!と挑戦してみたら結果ドタバタという汗 しろくまさんのような大御所様に読んで頂けてこちらこそ幸せです!ありがとうございます! (2023年3月7日 21時) (レス) id: c2e437d80c (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - 久々の「はなこ」節に腹を抱えて笑いました!はなこ様のお話をまた読むことができて幸せです!ありがとうございました! (2023年3月7日 19時) (レス) id: d7e22074ad (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - めめめさん» めめめさん、ご無沙汰しております汗 なんて素敵な褒め言葉!こちらこそコメントありがとうございます!! (2023年3月5日 0時) (レス) id: c2e437d80c (このIDを非表示/違反報告)
めめめ(プロフ) - うわーーー!はなこさま新作嬉しゅうございます!!相変わらずキレていらっしゃる!!ありがとうございます (2023年3月5日 0時) (レス) @page22 id: 1ec0dcf065 (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - ももさん» ももさん、いらっしゃいませ!そうなんです、賊の顔を見た時の鴨さんのお顔が一瞬そう見えたんですよ…(妄想が酷い)感想ありがとうございました!! (2021年11月9日 17時) (レス) id: c2e437d80c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はなこ | 作成日時:2019年9月24日 1時