16. ページ16
.
明日からの職場が取った部屋はもちろん２部屋。
でも今日は＿＿＿
『 寝るだけやしと思って、たいした部屋やないけど 』
「 ううん。ありがと 」
到着も遅い予定だったし、
後は軽くご飯を食べてお風呂に入って寝るだけ。
本当にそれだけだから。
だから全然なんだってよかったんだけど。
視界に入った２つ並ぶベッドに
なんでか寂しさを感じる私って本当に何なんだか。
『 先、風呂はいる？ 』
「 うん、そうしようかな 」
『 じゃあ、俺先食べちゃうな 』
「 そうしててっ 」
何かしていないと余計なことばかりが
頭に浮かんでしまう。
鏡に映る自分は本当に酷い顔だ＿＿＿
周りから見たら普通なのかもしれない。
でも私には違って見える。
いつからこんなに汚くなったんだろう＿＿＿
お風呂を出れば、やたらと静かな室内
そっと覗き込めばソファで眠ってしまってる彼がいて
ゆっくり起こさないように隣に座る
「 まつげ長いなぁ… 」
「 寝顔、かわいい、 」
こんなに愛しいと感じてしまうのに。
彼は私の恋人でもなんでもないんだから、
残酷なものだよな、なんて。
全部自分が悪いくせに。
「 西畑くん、お待たせ、お風…！ 」
『 …… 』
「 ？？寝ぼけてるの？ 」
『 Aっ、、 』
「 起きて、お風呂入らないと 」
『 行かんといて…あんたが、好きやねんで… 』
「 ！！ 」
急に引き寄せられて、
寝言なのかうつらうつら発する言葉。
耳を疑って、
そっと身体を離して顔を覗き込めば
しっかり瞼は閉じたまま。
「 気のせい、だよね 」
夢ならば、誰に向けた言葉かなんて
正直分からないから。
その前に呼ばれた名前でもちろん期待はするけど。
私はそんな立場じゃない。
もう、これ以上は＿＿＿
彼を少し強く揺さぶればそっと目を覚まして、
うつろな目が私を捉える、
次の瞬間にははっとした表情になって、
慌てたかのようにそのまま私を腕に引き入れた
「 ？？ 」
『 …居らんく、なったかと… 』
「 えっ？ 」
『 …っごめん、寝ぼけとった、』
私の疑問には答えを出されることはなく、
すっと離れて浴室に向かってしまった
その後ろ姿が無性に寂しくなって切なさは増す
物理的な距離は無理矢理縮められても、
それ以外は埋めることはできないんだと、
彼自身に釘を刺されたようだった＿＿＿
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 779人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
fumi(プロフ) - りょうさん» ありがとうございます…！余裕があったら続き書いてみます…！☺️ (9月1日 0時) (
レス) @page47 id: bce4216c10 (このIDを非表示/違反報告)
りょう(プロフ) - 完結？おめでとうございます！続編楽しみに待ってまーす🫡 (8月30日 23時) (レス) @page47 id: f81b8b1a26 (このIDを非表示/違反報告)
fumi(プロフ) - いちご大福さん» コメントありがとうございます…！わぁ…なんて嬉しいお言葉でしょうか🥲ありがとうございます🥹2人の結末やいかに、、、 (7月17日 17時) (レス) id: bce4216c10 (このIDを非表示/違反報告)
いちご大福(プロフ) - あ〜続きが気になる。できれば、できれば幸せになって欲しいです。fumiさんの描く大吾くんがめちゃめちゃ好きです！応援しています😊 (7月16日 8時) (レス) id: 141b81de70 (このIDを非表示/違反報告)
fumi(プロフ) - かなっぺさん» 何かイメージ出来るのこんな役ばっかりなんですよ🥹どうしましょ(笑)ありがとうございます🥹2人は幸せになれるんでしょうかね、、、🥲 (6月2日 1時) (レス) id: bce4216c10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：fumi
| 作成日時：2023年4月2日 0時
