気が強姫はか弱い姫 (ページ3)

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姫が二人ページ3

薩摩藩の者が帰った後。

雹翠「本当に良かったのですか？人間と手を組むなど」

千華『よくはないに決まっているだろう』

はぁ、と深い溜息をつきながら、千華は夜の月を眺めた。

千華『だが、帝が標的となれば鈴鹿御前の姫君が動く可能性が高い。もしあの姫君に何かあれば、それこそ重大なことになる。やるしかあるまい』

また一つ溜息をつく千華は、視線を雹翠に戻して言う。

千華『明日にでも京へ行くぞ。最悪の場合も考え、逃げ道を見ておきたい』

雹翠「分かりました。では、今宵はもうお休みになりましょう」

千華『そうだな』

千華はまた夜の月を眺めて溜息をついた。

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翌日。

雹翠「当主。ご準備はよろしいですか？」

千華『嗚呼、問題ない。それと、京に入ってからは俺のことは当主ではなく千華と呼べ。他の鬼に知られれば面倒だ』

雹翠「分かりました」

そうして、二人の鬼は京へと歩みを進めた。

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数時間かけて、ようやく京へと着いた。

もう日は落ちており、辺りは暗く静寂と化していた。

雹翠「千華様。お疲れでしょう、少しここで待っていて下さいませ。宿を探して参ります」

千華『分かった』

雹翠「では」

暗い夜道に取り残された千華は、近くの裏道に入り腰を下ろす。

千華『矢張り九州からは遠いな。予想より遅く着いてしまった』

これからのことを考えながら雹翠が戻るのを待っていると……

「きゃーーーーーーー！！！」

千華『？！何だ？』

突然女性の悲鳴が聞こえ、急いでそちらまで駆けていくと、そこには浅葱色の羽織を羽織った白髪紅眼の刀を持った男と、その男に追いやられている少女がいた。

千華『夜分遅くに女子を襲うとは、けしからん男だな』

無情でその男の心臓を仕込み刀で一突きに殺し、血を拭う。

千華『娘、怪我はないか？』

？「え？は、はい！ありがとうございます！」

少女は唖然と千華を見ていたが声を掛けられ我に返り、直ぐに立ち上がってお辞儀をした。

千華『今後は気をつけよ。夜分遅くの女の一人歩きは危険だからな』

そう言うと千華は屋根に飛び乗り、消えた。

？「千鶴ちゃん。大丈夫？」

？「千鶴！大丈夫か？」

千鶴「平助くん！沖田さん！」

千鶴は殺された男と同じ浅葱色の羽織を羽織った二人を見て安堵する。

沖田「これ、千鶴ちゃんがやったの？」

沖田は、綺麗に心臓を一突きにされ殺された男を見ながら聞く。