不滅の愛を 2【煉獄杏寿郎】

95.コウヨウする ページ45

旅館に着いた私たちは


　仲居さんに今夜泊まる部屋へと案内された。


「こちらでございます。

　素敵な時間をごゆっくりとお過ごしください。

　それでは失礼いたします。」



「とても素敵なお部屋…」


　私は仲居さんが出て行くと、部屋の中を見て回った。


「お風呂場を見てこよう。」


　杏寿郎さんに促されて、お風呂場へと向かうと、


　紅葉を一望できるほどの開放的な空間に


　水面に景色が反射し、


　その存在感を示す露天風呂があった。


　紅葉はライトアップされていて


　それはもう幻想的な空間だ。



「綺麗…！！

　こんなところに泊まれるなんて…夢のようです！」



「ははは！喜んでもらえて良かった！」



　私は喜びのあまり、杏寿郎さんに抱きついてしまった。



「大胆だな！」


「嬉しいのです！」



　ぎゅっと腕に力を込めると、


　杏寿郎さんも同じように腕を回して抱きしめてくれる。



　身体がゆっくり離れると、


　彼は微笑んで告げた。







「お風呂、入ろうか？」



「一緒に…？」



「一緒に。」





　彼の手が伸びてきて、


　私の耳についているイヤリングを取る。



　そのまま手は滑るように


　私の服のボタンをひとつずつ外していく。



　彼の顔を盗み見ると、


　私の視線に気づき、目を細めて口角を上げた。



「…どうした？


　もう熱いのか？」



「え？」




　ボタンを外し終えた手は私の頬を包む。




「まだ風呂に入っていないのに、


　なぜこんなにも頬が赤い？」



「それは…」



「それは？」



　この瞳、分かっている。


　杏寿郎さんが意地悪をする時の瞳だ。



「部屋が暖房であたたかいから…」



「ほう…そうか。」



　私の着ていた服が身体から床に落ちる。



「熱いのか…？」



「熱い…です。」



　杏寿郎さんは私の髪を撫でて眉を下げて問う。



「では、お風呂はやめておくか？

　のぼせてしまっては困るからな。」



「…入りたい。」



「ん？」



　温泉の掛け流しの音だけが響いて


　気持ちを高揚させる。




「杏寿郎さんと一緒に…


　入りたい…です。」








「…うむ。では脱がせてあげよう。」

96.※漏れる吐息→←94.寝顔

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す