不滅の愛を 2【煉獄杏寿郎】

94.寝顔 ページ44

「うまい！」


「ふふふ。美味しいですね、ここのプリン。」



「実にうまいな！

　お姉さん、もう一個いただくとしよう！」



　温泉街を散策していた私たちは、昼食を済ませると


　ひっそりと佇む甘味処へと立ち寄っていた。



「杏寿郎さんは本当によく食べますよね！

　美味しそうに食べるから、

　あなたを見ているだけで幸せな気持ちになります。」


　
　私は空になったプリンの器を見て微笑む。



「そうか！

　俺は君といられるだけで幸せだ！

　笑った顔も、真面目な顔も、ちょっと拗ねた顔も、

　怒った顔すら愛おしい！」



　わっ！こんなお店の中で…恥ずかしい！！



「ちょっと…杏寿郎さ」



「だが、1番幸せを感じるのは


　君の寝顔を見ている時なんだ。」



　寝顔…？



「無防備な顔で

　安心して寝ている君のそばにいられることが

　幸せなんだ。」



「寝顔なんて…恥ずかしいですよ。」



　杏寿郎さんは私の耳に手を伸ばし、


　アヤメのイヤリングにそっと触れた。



　その顔は少し寂しそうで…



「杏寿郎さん？」



　私が呼びかけると、眉を上げていつもの表情に戻った。



「…すまない！

　そろそろここを出るとしよう！」






　

　お土産屋さんや綺麗な景色を見て回ると、


　あっという間に日が暮れかけていた。



　薄暗くなってきた道を


　ガス灯のような趣のある街灯が優しく照らす。



　なんだかその景色が懐かしく思われて


　私は一人静かに胸がいっぱいになった。



「もうすぐ駐車場だ。

　A、歩き疲れてはいないか？」



「大丈夫ですよ！」



「そうか！

　しかし、結構歩いて疲れただろうから、

　寝る前に足のマッサージをしてあげよう！」



　杏寿郎さんのマッサージか…


　結構力強くて痛いんだよなあ。



「ありがとうございます。

　でも、大丈夫ですよ！」



「遠慮することはない！任せてくれ！」






　とても目を輝かせて言うものだから






　断れない…。

　

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