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quinze cafe ページ16

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ドアが開いて、彼が入ってくる。

別に大したことのない普通のことなのに、時が止まったかのように、スローモーションに見えた。

私はその光景にぼうっとしていたが、店長に小声で名前を呼ばれて、ハッと我にかえった。


「い、いらっしゃいませ!」


店長はそんな私の姿に、何かを察したのかクスッと笑うと、


「頑張れ」


という小さなエールを、勘付いていそうなニヤニヤ顔でそのまま奥に引っ込んで行った。

彼はそんなやりとりには気づかないまま、急いだようにカウンターへとやってきた。


「まだっ、時間大丈夫ですか?」

「はい。まぁ、少しギリギリですけどね」


そう言って笑えば、


「良かった〜…」


と、ホッとしたように微笑んだ。


そんなにもカフェオレが飲みたかったのかな。

変なの。


なんて、心の中で思いつつ、私は彼と目を合わせた。

店員と客ではあるけれど、店の中には私と彼しかいなくて、世界に二人だけ、なんていう甘い言葉が私の脳裏をかすめた。

私はそんな考えして恥ずかしくなったのを悟られないように、いつも通りに振る舞う。


「ご注文はいかがしましょう?」

「…いつもので」


『いつもの』なんて初めて言われたけど、それでわかってしまえるのが嬉しくて。

私はまた、笑みをこぼした。


「かしこまりました。少々お待ちください」


そう言ってドリンクを作れば、いつもにはない、緊張感が漂っているのを感じた。

私はそれに気づかないふりをしながら、いつもとは違う空気に何か少しだけ、期待をしていた。

それが何かとは分からないけど、何かが変わるような。

そんな小さな期待。


「お待たせしました。…いつものでございます」


ドリンクをカウンターの上に置いてそう微笑むと、彼はゆっくりとそれに手を伸ばした。

そして、私が手を引っ込めた時、彼はぐっと息を飲み込んで、


「あのっ…!」


と言いかけたその瞬間、機械音がその言葉を止めた。

彼が複雑そうな顔をして固まっている間にも、その機械音は鳴り止まない。

彼ははぁとため息をつくと、すみません、と電話を耳に当てた。


「もしもし?」


いつも私が聞くのとは違う、何か壁がないみたいな声。


って、そりゃそうか。

電話をするくらいの相手だし。


そう思って、私はあまり音を立てないように洗い物をする。

何を言いかけたんだろう、そう考えていると、彼の声が聞こえた。


「…どうしたの?」


今まで聞いたこともない、優しい声が私の耳に響いた。

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mifulu(プロフ) - ほわさん» ご指摘ありがとうございます! バーコードって変ですね笑 これからもよろしくお願いします。 (2019年9月10日 9時) (レス) id: 8875a6e61c (このIDを非表示/違反報告)
ほわ(プロフ) - 誤字とかじゃないんですけど、最新話のバーコードはQRコードにした方が良いと思いますよ!続き楽しみにしてます!更新頑張ってください! (2019年9月10日 0時) (レス) id: d0efce02c1 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 白うさぎさん» ありがとうございます! ゆっくりになるとは思いますが、楽しんでもらえるよう頑張ります。 (2019年7月21日 23時) (レス) id: 477f578196 (このIDを非表示/違反報告)
白うさぎ - とても面白くて、毎日楽しみにしています!更新頑張って下さい(*^^) (2019年7月21日 17時) (レス) id: 33733f1464 (このIDを非表示/違反報告)
mifulu(プロフ) - 華恋さん» 初めまして(*^^*) ありがとうございます! テストが近いのでゆっくりになるとは思いますが、期待に応えられるように頑張ります! (2019年6月30日 10時) (レス) id: 80a048a51f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mifulu | 作成日時:2019年6月10日 0時

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