完璧少女は造られた【鬼滅の刃】第一章

・私の世界には ページ31

なるべく一人でいたいのに、来いなんて言われたら本能的に体が反応してしまう。



袖をまくって左手首を見る。


刀が刺さった痕はしのぶさんの薬のおかげで消えている。




あの日の任務で無一郎さんに手刀されて目が覚めたら蝶屋敷だった。


たぶんもう気付かれているんだろう。








機械になったあの日から



私の世界には色が無くなった。




何の変哲もない。



一つあるとすれば血の色。



鬼が憎い



私から自由を奪った鬼が。







中に埋め込まれた本体は取り除けない。



体内に埋め込まれさえしなければまだ何かあったのかもしれないのに。






そんなことを考えるとまた体の繊細なところにヒビが入る。


これがつらいから感情を無くしたのに……





時透「どうしたの？」



顔を上げると目の前に無一郎さんの顔があった。
隣にいた筈なのにいつの間に移動したのだろうか。

無一郎さんは私の左手に目をやった。



時透「痛い？」



A「お気になさらず大丈夫です」









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時透side




最近……というかほぼ毎日、Aと一緒にいるけどこれにはちゃんと理由があって




お館様から



『Aは誰かの優しさに触れたことがないから側にいてあげてね』



とか言われたから。(たぶん)





不死川さんの刀で体を動かしてる本体が傷ついた可能性がある。

もしそうだとしたら感情を持てるかもしれないというお館様の考えなんだと思う。






それでいつも通りAを呼んで縁側にいたらAが何かを考えているかのように左手を見始めた。




時透「どうしたの？」



Aは動作とは裏腹に何も考えていないかのような無表情で僕を見上げた。



時透「痛い？」



A「お気になさらず大丈夫です」



Aは少し顔を背けた。

顔を見せてくれないのは少し寂しい気もするけど、そんな動作をするということはやはり本体は傷ついているんだろうか。




時透「ねえA」



名前を呼ぶとAは視線だけ僕に向けた。



時透「Aはどうして感情を無くしたの？」



Aは少し目を開いた後に、「やっぱり」とでも言うように少し呆れたような目をした。

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