人魚姫 X ページ12
何度も何度も海へ出かけていたから、海への近道を見つけたりと、この周辺には詳しくなった。
少し足場は悪いが……
碧晴は器用にその岩場を通り抜けていく。
(……そういえば)
碧晴は思い出した。
今日は八月三十一日。夏休みが終わる。
Aと話し込んでいるうちに、いつの間にかこんなにも、
「あっ、碧晴だー！」
無邪気な子どもらしい声が聞こえ、目を向ければ必然というべきかAが居た。
碧晴は改めて、自分より少し幼い容姿のAをまじまじと見る。
身長などからしてAは中学生くらいの歳だろう。ならば、もうすぐAも学校が始まる。
さすがにAにも自分の家はあるはずだ。
「……A」
「ん？」
Aは大きい目を更に大きくして、自身の名前を呼んだ碧晴をジッと見つめた。
「Aは、何処の学校に通ってるんだ？」
しかしAは、表情をスッと笑顔から無表情に変えて大きな瞳を揺らがせた。
暫く沈黙が続き、Aはやっと口を開いた。
「私、あんまり体がよくないの。
……だから、休養みたいな感じで、自然がたくさんある此処に、今の時期だけ来てるんだ」
『住んでるところは？』
『明日から学校なのに、どうして帰っていないの？』
碧晴に質問されればされるほど、Aは段々と身を縮こませる。
風が吹けばすぐに飛ばされてしまいそうなほどに……。
「……ねえ、碧晴」
Aは碧晴の手をとり、握った。
「今日は……夜明けまで此処にいてよ」
泡のように、儚く消え入りそうな声だった。
碧晴は『暇だから』という理由で夏休み前半のうちに宿題を殆ど終わらせ、後半戦で既に全て終わらせている。
時間に充分なゆとりはあるのだ。
「……いいよ」
目の前に居る、自分にだけ見えている人魚姫から目を離すことはできなかった。
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鮭の神様(元 レオ)(プロフ) - すごい…！！私の好きな綺麗な世界観…！更新お疲れ様でした！ (2020年6月14日 23時) (
レス) id: 86c31a4b24 (このIDを非表示/違反報告)
昆布(プロフ) - 日向鬼@低浮上さん» ありがとうございます。「綺麗」と言ってもらえて嬉しいです〜！ (2020年6月6日 20時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
日向鬼@低浮上(プロフ) - もう凄いわ僕((本当に題名で当てられるようになった…待ってました！(ドンドンパフパフ)昆布さんのお話は綺麗でなんかお話し読んでて楽しい(？)から大好き！頑張って！ (2020年6月6日 20時) (レス) id: 98b52071c9 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - テイル@パピコ同盟さん» ありがとうございます。ちょっといろいろと勉強しました〜 (2020年6月6日 19時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
テイル@パピコ同盟(プロフ) - 夢主の画力が良すぎィ↑私には到底辿り着けないような境地だぁ！そして文章力も圧倒的に上がってきている！羨まし！ (2020年6月6日 19時) (レス) id: a6ac34b766 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon723/
作成日時：2020年6月6日 18時
