5 ページ6
──────……てる
──────……る……みな……
無意識空間の中で誰かの声が聞こえる。
この声は……
「聞いてる!?湊!」
ハッと目を開けると心配そうに俺の顔を覗き込むAが居た。
「A……」
「ずっとボーッとしてたよ?大丈夫?」
「熱でもある?」と聞くAに首を振って「大丈夫」と伝える。
事故にあった筈のAが目の前にいて、すぐに抱きしめたい気分だが、生憎そんな時間は無い。
今、居るのは七階まであるビルの下。
昨日は一階の喫茶店で話をしていたのだ。
このまま別れてしまえば、五分後にAは死の運命を辿ることになる。
それだけは避けなければいけない。
五分経つまで、ここに留めておけば何とか助かる……か?
いや、もっと安全な場所に置いておいた方が安心できる。
安全な場所……店の中、か?
もう一度、店の中に戻る。そうするには……
「湊?どうしたの?」
まじまじと俺の顔を見てくるAを見て、気付いた。
今日、Aが付けていた、昔に俺がプレゼントしたブローチをAが付けていないことに。
確か……
『汚したくないから』
と言って机の上に置きっぱなしだった。
よし、これなら……!!
「A、今日付けてたブローチは?」
Aはキョトンとして、自分のカーディガンを見た。
「えっ無い!!あれ!?」
うまくいった……!!
「店の中に置きっぱなしなんじゃないか?」
「あ、そうだね!取りに行ってくる!」
「俺も行くよ」
これである程度の時間を潰せるがブローチの場所はわかっている。
そして喫茶店は一階。
潰せる時間は二分くらいだろう。
さて、どうしようか……。
7人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
昆布の神(プロフ) - 日向鬼@青いブレスレット運動参加さん» 一コメありがとうございます!パラレルワールドとかの都市伝説的なやつが私大好きなんですww ファンなんて本当に嬉しいです!! (2020年5月24日 21時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
日向鬼@青いブレスレット運動参加(プロフ) - え!?やった!僕コメ一番! (2020年5月24日 21時) (レス) id: 01514d0bec (このIDを非表示/違反報告)
日向鬼@青いブレスレット運動参加(プロフ) - パラレルワールドの世界線もいいですねえ…ほんと好きだわ。昆布さんの作品。なんか最後には全部繋がるし、その場の空気も伝わって切るし、神作者さんだよ!僕はもう昆布さんファンになった! (2020年5月24日 21時) (レス) id: 01514d0bec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2020年5月24日 8時