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『制限時間は五分だ』
「……は?」
もう一人の俺が人差し指を立てて言った。
制限時間、五分……?
『時間を巻き戻し、運命を変えるということは無代償で済むことじゃない。五分で運命を変えろ。
タイムリミットが来たその時、』
─────────Aの死が確定する。
もう一人の俺が耳元で囁いた。
Aを死なせないためには、これしか無いんだ。
「……やってやるよ」
俺が不敵に口角を上げると、もう一人の俺も『……だと思ったぜ』とニヤリと笑った。
『ほらよ』
「はっ?」
もう一人の俺が投げつけたものをギリギリ、手で受け止める。
暗闇の中、目に力を入れて、よく見てみるとそれはコンパクトサイズの時計だった。
『その時計の上にあるスイッチを押せば望んでいる時間に戻せる。
制限時間が来ると強制的に現実の世界に戻されるぞ』
これで時間を……
ごくっと唾を飲み、汗ばむ手で時計を握りしめた。
『……しくじるなよ。
目先のものだけを見るな。単純な思考をするな。
"車に撥ねられることだけが"……?
最後に言っていることの意味がよくわからなかったがそれでも行くしかなかった。
「……必ず助けるから」
俺は目を瞑り、時計を押した。
『……頼む。変えてくれ。
お前だけでも、運命を……』
もう一人の俺のその声が聞こえることは無かった。
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昆布の神(プロフ) - 日向鬼@青いブレスレット運動参加さん» 一コメありがとうございます!パラレルワールドとかの都市伝説的なやつが私大好きなんですww ファンなんて本当に嬉しいです!! (2020年5月24日 21時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
日向鬼@青いブレスレット運動参加(プロフ) - え!?やった!僕コメ一番! (2020年5月24日 21時) (レス) id: 01514d0bec (このIDを非表示/違反報告)
日向鬼@青いブレスレット運動参加(プロフ) - パラレルワールドの世界線もいいですねえ…ほんと好きだわ。昆布さんの作品。なんか最後には全部繋がるし、その場の空気も伝わって切るし、神作者さんだよ!僕はもう昆布さんファンになった! (2020年5月24日 21時) (レス) id: 01514d0bec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2020年5月24日 8時