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嫌いだ 7 ページ8

「やっぱり屋上は気持ちいいね〜」



本当にコイツはなんなんだ。

コイツの考えていることが何一つとしてわからない。




「……願永」



「んー?なに?」



「お前はなんで俺に構う?」



願永は目を丸くした。



「お前はクラスの奴らからも好かれてて、
性格も明るくて、
……俺とはまるで正反対だ。
俺はお前が羨ましい。
願永が俺といて良いことなんて何も無いだろ。
なのになんで俺に近づく?」



「それは……」



「同情か?」



「え?」



「みんなから、嫌われてる俺が可哀想に見えるから?」



俺は下を向いて願永が今どんな顔をしているのか見えない。




「俺はそんな同情で優しくされたかなんか無い」



震えるような大きい声で言い放って、屋上を出ようとした。



が、手を引っ張られて阻止される。





「私は光河君に同情を置いてるわけじゃない。
ただ、あなたのことが気がかりなだけ。

いつも寂しそうな表情をしているあなたの明るい表情を見てみたいと思った私のただの自己満足!!
……それに、私は君が羨ましかったよ」



「……え?」



「あなたはお弁当をぐちゃぐちゃにされるけど、
だけどいつも作ってくれる優しいお母さんがいるんでしょ?
学校でたとえ苦痛だとしても、優しくて暖かい温もりを持つ家族がいるんでしょ?

私は違う。
親は私が中学生の時に離婚した。
それから私の人生は大きく狂った」




羨ましくて



嫌いだった彼女の家庭事情を初めて聞いた。




「……ごめん」




「ううん」




願永は後ろから俺の頭を撫でた。

背伸びでもしているのだろうか。



「ねえ、私に話してみない? ……君の話。
そしたら、ね。助けてあげる。あなたのこと」



意味深な言葉だったけど彼女の優しい声と温もりに、俺は我慢ができなくて泣き出した。




「うん……つらかったね。
頑張ったね……光河」




その声はどこか聞き覚えがあった。

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設定タグ:オリジナル , 死ネタ , いじめ   
作品ジャンル:泣ける話, オリジナル作品
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茅野 - いじめって、実は身近にあるかもしれないですね・・・人の命の尊さについて、改めて考えました。とても素晴らしい作品、誠に有り難う御座います。 (2021年10月1日 21時) (レス) @page16 id: b511afcf7e (このIDを非表示/違反報告)
朱莉@すけふれ(プロフ) - 僕が、気付いてないだけなのかもしれないけど僕の学校にいじめがないことがすごい恵まれてたかもしれません。作品面白かったです。 (2021年9月19日 8時) (レス) id: a26d65cb38 (このIDを非表示/違反報告)
ぎゆみかん - 主人公、優しすぎる!泣きそうになった。 (2020年9月21日 16時) (レス) id: 8ebef6a95a (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - さーぇーちゃーんさん» 私は周りの友達が優しいから虐められてないだけで、世界のどこかでそんな理由でいじめを受けている人がいたら……と思うと自分もまだ恵まれている方なんだな〜とか思います。見てくださりありがとうございました! (2020年4月24日 20時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
さーぇーちゃーん(プロフ) - いつ、どんな理由で人はどう変わるのかが怖いです。偏見だけで差別を起こすのは永遠に反対です。世界中の人にこの小説を見てもらいたい。どれだけ自分の責任が重いのか知ってもらいたい。そしてもう一度、完結おめでとうございます! (2020年4月24日 20時) (レス) id: 01514d0bec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon723/  
作成日時:2020年4月22日 16時

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