氷の火山【サターン】【プラチナ】 (ページ10)

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【第2章】線路の上ページ10

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ギンガ団の目的は、『神話を調べ、伝説ポケモンの力でシンオウ地方を支配すること』。
前にジュピターが教えてくれた。

おかげで、探るまでもなく警察本部に伝えられたので助かったものだ。

そのための準備は、着々と進んでいる。

発電所のエネルギーはマーズが集め終わった。
今頃は、ジュピターがハクタイシティのポケモン像を調べ、ハクタイビルで更に調査をしているはずだ。

これは、本来なら国際警察に伝えるべき案件だった。

止められるものは止めなければ、本当にギンガ団がシンオウを壊してしまうから。

しかしAは、目的を伝えるだけ伝えて具体的な内容を『調査中』として伝えていない。
国際警察にまで怪しまれないよう、定期連絡はとっているし、伝えられる情報は伝えている。

だが、内部の細部までは何故か国際警察に教えようとしなかった。

とうのAはと言うと、ここ最近事務仕事ばかりやらされていた。一定期間の外出禁止をボスのアカギ直々に言い渡されてしまったのだ。

それがアカギ自身の意図なのかは知らない。わからない。
短い期間のうちに無断行動をしすぎたツケが回ってきただけかもしれない。
しかし、Aへの仕打ちをサターンが根回ししていたのは明確だった。

長時間デスクに向かっていたせいで凝り固まった体をほぐすようにAは背を伸ばした。

椅子の背もたれに体を預け、ふと思い出したようにモンスターボールを取り出す。
むし、どく、ノーマルタイプなどを使う団員が多い中、Aの持つポケモンは異端だった。

どうやらこだわりがあるようで、ボスのアカギからも特別に認められている。

モンスターボールをしまって再びパソコンに向かったが、もう手が動かなかった。

毎日やることなすこと繰り返しの日々に、自分が辟易(へきえき)しているのはわかっている。
なのに抜け出せないのが、積もり積もってはAに覆いかぶさってさらに強く拘束してくるのだ。

すると、マウスに添えた手の横に、不意に自分のものよりひと回り大きい手が机をついた。

「手が止まってるぞ」

サターンにとってAが邪魔な存在だとしたら、
Aにとってサターンはねちねちと説教くさい親のような存在だ。

振り返ると、能面を貼り付けたように無表情のサターンがいた。