・ ページ30
*
アジトからトバリシティに出ると、突然ギンガ団の下っ端が俺めがけて全速力で走ってきた。
「コウキくん！」
「……え……。……誰？」
俺の名前を知っているギンガ団なんかいたっけ？ と考えていたのもつかの間、俺はハッと気づいた。
「ハンサムさん！」
「正解だ」
パチンと指を鳴らす下っ端もといハンサムさん。
ハンサムさんは変装が得意なので、ギンガ団の下っ端に変装してアジトに潜り込み、ウラヌスを捜していたのだ。
つまり、ハンサムさんに協力してほしいと言われ、そして練った作戦は、俺がアカギ含めてギンガ団をぶっ飛ばすから、ハンサムさんはウラヌスの捜索を担当する……というもの。
「ていうか、ウラヌスも国際警察のスパイだったんですね。俺、さっきアカギと話して初めて知りましたよ」
「ああ。だが、彼女はまだ十六歳。しかも十一歳のときにギンガ団に放り込まれた。年齢的には、警察に所属できる子じゃない」
「えっ！ じゃあ、どうして」
「その説明は長くなるから、今は省くが……。ウラヌスのことを知って、それはおかしいと思ってね。まだ守られるべき年齢の子が、独り身で危険な組織に所属するなんて。だから、国際警察として……いや、
十一歳。今の俺とほぼ変わらない年齢で、あの組織にいたんだ。同年代の奴だっていなかっただろうに。
「それで……ウラヌスは？ 見つかったんですか？」
「ああ、実はあのワープパネルに大苦戦してね、何度
「……ええ……？？」
それ、つまり収穫なしってことでは？
……国際警察って意外とポンコツだったり、なんて失礼なことを考える。
「とにかく私はもう一度アジト内を探索してみるよ。ギンガ団もほとんどいなくなっただろうしね。アカギはおそらくテンガン山へ向かったはず……。コウキくんも向かってくれるかい？」
「はい！」
返事をして、俺はダッとテンガン山へ走り出した。
＿＿＿『ウラヌスが今いるのは、拘置の役割も兼ねたガス室』
＿＿＿『本当に処分するとしたら、死ぬまでの時間は約十分。苦しみは尋常じゃないだろうな』
ウラヌスが死ぬかもしれないという事実が、俺の焦燥感を駆り立てる。
いいや、俺がすべきことは、アカギを止めること。ウラヌスをハンサムさんが助けてくれることを、願うしかない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時：2023年1月26日 20時
