エーデルワイス【1st】【グルーシャ】 (ページ48)

今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:16,577 hit

・ページ48

*

「意外かもしれねぇけど、オレピクニックが好きで、料理すんのも得意なわけよ」

「へえ。いいね」

「今はポケモンを元気にする健康料理を研究してんだけど……」

そう言いながら、ペパーが開いたのは紫色の分厚い本。

「この前見つけた本に食べればたちまち元気になる……秘伝スパイスっていう食材の情報が載ってたんだ！秘伝スパイスは全部で五種類！粉末をペロッと舐めるだけで、滋養強壮、血行促進！老化防止に免疫アップだ！パルデアにしかないガチで珍しい食材らしい！」

「ふーん……。珍味的な？だったら高級料理店とかでお高く出回ってそうだけど……」

「そういうのとは少し違うんだ。秘伝スパイスはヌシポケモンってのに守られてて、簡単には手に入らねーんだと！ヌシポケモンってのは……多分、こんなヤツ！」

ペパーが見せてくれた本のページを覗き込む。
そこには、ドンファンに似たポケモンの写真が印刷されていた。白黒なので、大分前に撮った写真だろう。

＿＿＿【エリアゼロの怪物】

“エリアゼロには不思議なポケモンが生息している。”

“下に行くにつれて、ポケモンかどうかもわからないような、巨大で凶暴な生物がその姿を見せ始める。”

“彼らの猛攻を受けたことで隊員が致命傷を負い、一時退却することとなった。”

“観測隊のひとりが偶然撮影した写真。”

“ドンファンというポケモンに似ているような気がするが、体の大きさや背中の形など、生物的に全く異なる。”

“まるで鉄の轍(わだち)だ。”

「自分で採りに行きたいけど、オレポケモン勝負は苦手でさ」

ペパーは腰に手を当てて、ため息をつきながら言った。

「ポケモンが強い友達のアテもねえし……」

その瞬間、ネモの顔が脳によぎったが、ペパーの態度から察するに、ネモとペパーは恐らく馬が合わないのだろう。

「そこで！是非ともオマエの力を貸してほしいんだ！」

「ぼくは……」

「＿＿＿ちょっといい？」

返答しようとすると、突然背後から、どこかで聞いたことがある声が聞こえた。

「あっ」

振り返ると、さっきエントランスでAさんと一緒にいた男性が上着のポケットに手を突っ込んで立っていた。
彼女が言っていた名前……そうだ。

この地方のジムリーダーの中でも最強と言われている。

＿＿＿氷タイプ使いの、グルーシャ。