〈四章〉解氷 ページ29
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ジムを出ると、冷たい空気を含んだ風が頬を掠めた。冷気は、浴びすぎると寒さを通り越して痛みを感じ、限界突破すると麻痺してしまう。
「さて」
六年前から愛用しているモンスターボールをひとつ手に取った。空飛ぶタクシーを使った方が、安全ではあるのだけど、そういう機械的なものは、どうにも自分の性分に合わなかったようだ。
「フワライド!」
風船のような見た目のポケモン、フワライド。六年前___最後の宝探しで捕まえたポケモンの中の一匹だ。
「連れていってもらっていい? ……今回はあっちじゃなくて、コサジの灯台ね。普通のとこ」
「ふわわ」
フワライド___
昔は、ワタッコと同じく風に流されているだけのため、人やポケモンを運んではいけるものの、行き先は決められないと思われていた。
しかし、他の地方では〈秘伝技〉として重宝されている『そらをとぶ』を技マシンで覚えられるため、しようと思えば定められた行き先に人やポケモンを運んでいけることが、最近になって明らかになった。
また、フワライドに乗って旅に出た男が行方不明になったという話を始め、フワライドに乗っていくとあの世に連れ去られるという話も有名だ。
けれどそれは、昔の人達が抱いていた
例えば、ジュペッタは捨てられたぬいぐるみに怨念が宿り生まれたポケモンとも言われるし、そういう意味で
人間は、形のないものや扱い方がわからないものを恐れ、怖がる。
かつて、人とポケモンが共存の仕方を知らなかった時代。
ポケモンの中でも、
故に生まれた迷信だ。
……が、
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2023年2月25日 23時