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「こんなところで寝ちゃダメだろ」
「ほげわ」
しゃがんでホゲータの頬を触ると、ホゲータはハッとしたように目を開いた。その顔の通りの呑気なポケモンなのかもしれない。
ホゲータは「ほげげっ」と鳴き声をあげながら、ぼくの足元までよたよたと歩いてきた。
……どうして自分にポケモンが近寄るときは、いつも足にばかり集まるのだろう。
いや、でも、妹のアオイも、ポケモンには変なところで興味を持たれたりしている。あの髪の……。
「よし、行くぞ」
「ほげーに!」
*
「さすがです。やはり、パルデア地方で最強のジムリーダーといわれるだけあります」
「どうも」
そう答えながら、チルタリスをモンスターボールに戻した。
ポケモンリーグのトップチャンピオン、オモダカさんによるジムの視察は定期的に行われる。この地方のトレーナーを導ける存在であるか、ジムリーダーに相応しい実力を保っているかを試される。
力不足と判断されれば、ジムリーダーから降ろされる。形式的なものとは謳っているが、それがどれほど自分にとって恐ろしいことか、この人はきっとわからないだろう。
「そういえば、グルーシャさん。もしかすると貴方には関係の無いことかもしれませんが……。一応お伝えしておきますね」
「? はい」
「近頃……ロースト砂漠のほうで、奇妙なポケモンが出現するようになったそうです」
「奇妙なポケモン?」
ロースト砂漠といえば、ハイダイがジムリーダーを務めるカラフシティの目の前にある砂漠だ。
……Aが大切にしていたメラルバも、ロースト砂漠に生息している。
「お恥ずかしながら、私にもよくわからないのですが……。目撃者によると、まるで生物性の感じられない見た目をしていたそうです。例えるなら、ロボットのように無機質なポケモン」
見た目に生物性の無いポケモンというのは、少なからず普通に存在する。ジバコイルやブロロロームなどがいい例だ。
また、ロボットのような見た目のポケモンならば、他地方にはゴルーグというポケモンもいると聞く。
……そういった今までの既存ポケモンとは、わけが違うのだろうか。
「形状的にはドンファンによく似ていたそうです。……ロースト砂漠をわざわざ行き来するジムリーダーなんてハイダイさんくらいな気もしますが、何かあるといけないので」
Aが聞いたら飛んで行きそうな内容だ___。
そう思った自分に、グルーシャは嫌気が差したのを自覚した。
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2023年2月25日 23時