柱辞めたら悪女潰されてたんですけど 壱

拾話 ページ12

閉じた瞼をゆっくりと持ち上げる。



A「守れなくてごめんなさい……」



これで埋葬は終わり。

既に日が昇り始めている。



髪をほどいて日の出を見上げる。


ああ鬼全員をこの場に引き摺り出して殺したいな。




鬼という存在さえいなければ今頃……


だけど鬼がいなきゃ"会えなかった"のか





うーん複雑




「……A？」



この声は



A「あー時透君。昨日……今は二日前か。
二日ぶりだねー。
てか私の名前覚えてたんだ」



時透「一応覚えてるよ」



一応なのかよ



A「てか今来たの？」



時透「今頃埋葬してるかなって思ったけど」



終わってるみたいだね、と時透君は辺りを見渡した。



時透君と冨岡さんは私に何も言わなかった。


まあこの二人は柱の中でも何考えてるのかわからないからどう思ってるのか知らないけど


冨岡さんは口下手だし時透君はすぐに忘れるしってところなのかな。




それより今日、久しぶりに任務に行ったから体が鈍ってるな。

帰ったら素振りとかしないと……



私が腕をブンブン振り回してたら時透君がジッと私を見つめているのが見えた。



A「どうしたの？」



時透「…Aってさ」



A「？ うん」



次の言葉を待っていたら時透君はそのまま黙ってしまった。



時透「やっぱりいいや」



A「えー気になるじゃん」



忘れたのかな？
いやこんな短時間で？マジかよ

HAHAHA



A「……帰る？」



時透君はコクリと頷いた。



この子本当に何考えてるのかわからない。

霞みがかったその瞳にいったい何を映しているんだろう。




時透「…………な人」



A「ん？なに？」



時透「別に何も」



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