fulfill

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Aside


短い学校生活の最後の授業参観。
最後だからと意気込む担任の先生は、
親への感謝を伝える授業をしたいらしい。


今更そんなの恥ずかしいな、なんて思いつつ
周りの友達は謎にじゃあお母さん呼んでくる〜なんて
言ってるし。


友達「Aは？」


A「えー、忙しいからなぁ」


友達「Aのお母さんとか、絶対美人じゃん！連れてきてよ！！」


会いたい！なんてニコニコ笑う友達に悪意なんてある訳なくて。


A「…どーだろうね、」


お母さんなんて論外。



信頼している友達にも、今まで1度も家族がいないだなんて言ったことない。


ただでさえ病気持ちというレッテルが貼られているのに、それ以上を重ねて可哀想な人と思われたくなかったから。

家族がいなかったから可哀想だなんて自分でも思ってないし、何より家族同等の人なんて思いつくだけで両手でも足りないくらい居る。


この間運良く引き当てた、窓側の席からよく晴れた外を眺める。



…ふっか先生に言ったら、来てくれるかな。



いや、そんな急に休みなんて作れないし、

この間三者面談で来てもらったばっかだ。



私は、授業参観の話を小さな頃からふっか先生にしたこと無かった。



プリントを貰っても道端で破いて捨ててくるか、
学校の机で保管して授業参観が終わり次第持って帰るかの2択。



「…今更無理だよ」


ぽろっと零した本音は、担任の先生の大きな声にかき消される。


いつだか、授業参観のプリントを見せた時にもう終わってんじゃん、と悲しそうに笑いながら私の頭を撫でるふっか先生が脳裏に過った。


来たいのかな、なんてちょっと嬉しく思う反面、
言ったら困らせることも分かっていた。


やっぱり、
期待しないでおこう、聞かないでおこうと思ったのに。

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