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真っ暗な部屋の中 ページ30

しばらく宗悟が見せてくれた写真を見てると、見慣れた車がロータリー入って来た
「宗悟、後で送っといて」
「いいよww」
ロータリーの端に停車した車のドアが開き、彼女が降りて来て目が合った瞬間嬉しそうに手を振った
『おまたせ』
「ごめんね、ありがとう」
歩寄ると彼女から一瞬安堵のため息溢れ、冷たくなってる手が触れた
『ううん。あたしが、きたかっただけだから。しゅーごも、のって』
「助かるわ」
『こまったときは、おたがいさま』

運転席をチラっと見るといつも以上に真剣な顔で目が忙しなく動いていて気を張って全神経を集中させてるのが分かる。運転は神経使うってヨシキに聞いた事あるけど…すげぇ集中
そのおかげなのか、危なげなく宗悟を送り届け、そのまま家に向かい1時間もせずに着くことが出来た
管理人さんに声を掛けて停電してるオートロックを開けてもらって階段で住んでる階まで上がる
『うえのかいなの、こうかいした』
「階段だとねww」
ナイトのリードを持ち手を繋いで彼女がスマホで照らしてくれてる足元に注意しながら階段を上がる
「いっぱい割れちゃった?」
『しゃしんたてとかびんと、わいんぐらすがおちて、かごのなかにあったおさらにまいと、あたしのおちゃわんにあたって、ぜんぶわれてた』
彼女が鍵を開けてドアを開けると、スマホで照らされた玄関の端っこにダンボールがビニール袋に入れられ割れ物と書かれていた。覗くと結構な数の割れた食器の破片
「結構割れちゃったね、お茶碗どうする?」
スマホのライトを頼りに手洗い嗽を済ませリビングに行くと翔さんの写真が無くなっていて、花瓶に生けてあった花は彼女がハイボール飲む時に使うジョッキが花瓶の代用にされていた
『…かわりになるのはないから、とうぶんこばちでだいようかな。きにいったの、みつけるまでは』
キッチンでは彼女がキャンドルの灯りを頼りに鍋をかき混ぜていた。その背中にさっき宗悟から聞いた物の話を振る
「夫婦茶碗は?」
『…なんで、それを』
「さっき宗悟からきいた」
『しっぱい、したから』
「上ドラで行く体験物は色々器用に作るのに?」
『…あたしだってしっぱいする』
「ほんとに?」
いつもよりくらい部屋の中、その背中をそっと抱き締めれば伝わる彼女の顔の熱と早い鼓動。必死に隠そうと思考をフル回転させて…もう知ってるんだけどなぁww
「使おうよ、一緒に。夫婦茶碗」
腕の中で照れてる彼女が可愛くて
『…ばか』

夕飯→←本人の知らぬ間に



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作者名:福招猫 | 作成日時:2021年9月20日 23時

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