a secret score ページ16
翔さんの引き出しのダミーの底板の下に隠された黒いファイル
八代「コレ本当に警報鳴るの?」
『…』
拓ちゃんの声にチラッと一瞬目を向けてからさっきパネル挟んで光を遮断した本を彼女がパッと開くと、けたたましい音が鳴り響き、すぐに本が閉じられ音も止まった
八代「ごめんって」
『しょーは、こーゆーとこ、よーじんぶかいし、ほんき。かぞくも、しらない。あたしの、かたわれの、めちゃめちゃ、こわいとこ』
苦笑いを浮かべた彼女はどこか楽しそうで。正直最初翔さんの部屋に入るって言い出した時は心配したけど、事故を見た時みたいに周りが見えなくなる事もなかった
Aちゃんが翔さんのファイルを開くといくつかの譜面が入っていた
『いままで、しょーがつくった、きょくだ…』
そのほとんどが無題で題があっても日付と音遊びと書かれているだけだった
『よみちがえたかな。たく、ぴあのふだから、きいたことないの、みつけたら、おしえて』
八代「いいけど、お前は?」
『こっち。おんげん、あるかも』
少し寂しそうにファイルから手を離してからAちゃんは壁際の大きめの机に置かれたパソコンを立ち上げた
八代「パス掛かってるでしょ」
お腹の前あたりで横にし右手の甲左肘をついて親指の爪で薬指の爪をパチン…パチン…っと弾き始めた。彼女が深く考え事をする時いつもしてるこの仕草はクセらしい。よく家でサスペンス見てる時もやってる
しばらく熟考したらしい彼女は指をパキパキっと鳴らしてからカタカタカタっとキーボードの上を指を滑らせEnterキー押すとパスワードが解除されホーム画面が表示された
『あいた』
「は!?なんで!?」
八代「何したの!?」
土岐「1発!?」
『くさっても、ふたご。なんか…ここに、かえってきて、まえよりも、しょーのことが、わかる、きがする』
彼女がパソコンを調べて、俺ら3人は拓ちゃんが翔さんの部屋にあった鍵盤で弾いてみながらファイルの中身を探す
「すげぇいっぱいあるじゃん」
八代「音遊びで相当作ってたからなぁ…」
土岐「聞いたことないのってある?」
八代「完全に聞いた事ないのはないと思うけど…」
『いまのとこ、きいたことないのは、きこえてこない』
「Aちゃんが知ってるなら違うか」
土岐「…コレ日付順に入ってるね。ほら」
無題が多くて気が付かなかったけど、よく見ると日付はページが進む事に新しくなっていた
「じゃぁ…最後の方?」
慌ててめくった最後のページ譜面には“To twin sister… ”と書かれていた
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作者名:福招猫 | 作成日時:2021年9月20日 23時