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煙草と卒アル ページ12

言われた部屋奥にある階段を上がると屋根裏部屋に繋がっていて、窓を開けてハンモックチェアに座りながら煙草を吸ってボーッとしてる彼女がいた
「Aちゃん」
『しょうくん…なんでここ、わかったの』
「拓ちゃん聞いた」
『あ、そっか。ここ、ぱぱがたばこ、すってた、へやなの』
「お父さんも喫煙者だったんだ?」
『うん、かみたばこ、じゃなくて…しがーだけど』
「シガー?」
彼女は短くなった煙草を灰皿に押し当てると、立ち上がって、壁際の戸棚から木箱を取り出してサイドテーブルに開いておいた。中にはドラマで見た事あるような葉巻が複数種類入っていた
『これ、はまき。たばこは…はいまで、すいこむ。でも、はまきは、くちのなかで、あじやかおりを、たのしむもの』
「別物なんだ」
『にて、ひなるもの…ってかんじ』
細く短めの物を1本手にしたAちゃんは、銀色の小さなギロチンみたいな物を見せた
『はまきは、これで、すいくちを、つくって…がすのたーぼらいたーか、せんようまっちで、ひをつける。かおりも、ぜんぜん、ちがう』
「Aちゃん葉巻吸わないんだ?」
『いろいろ、めんどい。ぱっと、すいたいし、ぱっとおわれる、たばこがいい。はまきは、みじかくて20ぷん、ながいと1じかんとか』
「ホントに全然ちがうんだ」
『うん、ちがう』


「ねぇ…この卒アル、1回も開いてない?」
『うん…そつぎょーしきのひ、しきにでないで…いえを、でたから。おやに、いわれて…せいじんおの、おいわいのとき、きせいしたけど、しゃしんと、しょくじ、すませて…すぐ、かえったし。せいじんしきも、おわったら、げきだんの、けいこ、あったから…』
喧嘩した訳じゃないのに…兄離れしたかった彼女は結果的にそれが翔さんに会った最後になってしまったわけだ。拓ちゃんが撮ってくれたって言ってた翔さんと2人で写る成人式の写真が双子が並んで撮影された最期の1枚…
「卒アルって、最後の方に寄せ書き出来るページあるでしょ?そこに、翔さんからAちゃんに宛てて書いてあった」
卒アルを差し出すと彼女はチラリと見てから目を伏せた
『だまって、でていったの…おこって、た?』
「読んでない。翔さんからAちゃん宛だって気が付いてすぐ閉じた」
『よんで…』
「俺が先に読んじゃダメでしょ…怖いかも知れないけどちゃんと受け止めなきゃ」
彼女の膝に卒アルを開いて置き、隣に置かれたロッキングチェアに腰をかける
「大丈夫、読み終わるまで傍にいるから」

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作者名:福招猫 | 作成日時:2021年9月20日 23時

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