罪みそじ あまり みっつ ページ35
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それなりの場数は踏んできたし、そこら辺の人に負ける気は全くしないが、それでもまだ足りない。甚爾さんと戦ったりなんかしたら私は一瞬で死ぬだろうし。
しかも、今年の一年は才能の塊ばっかで隣に並ぶのも大変。
また比較されるんだろうなと思えば、自然とため息が出る。
『うぅ、冥さ〜ん…!』
「はいはい」
情けない声を上げながら抱きつく私を受け止めて、彼女は手櫛で私の髪をといた。
不安なことで一杯だ。五条ともギスギスしたままだし。
「過剰な自己評価は身を滅ぼすけど、自分を信じないのも良くないよ。君はもう少し自信を持っていい」
『でも…』
「私が信じられないかな?」
『まさか!……場合によります…』
「賢明な判断だね」
そんな話を少しして、冥さんはそろそろ時間だと言う。『ありがとうございました』と礼をした私の頭を撫でてから、彼女はいつものように去って行った。
❀❀❀__
「おかえりー」
「お疲れ、なんの用だった?」
寮の共同スペースに戻ると、硝子と傑くんが居た。私を待っていたらしい二人に学生証を見せて『冥さんから、昇格したお知らせだった』と言う。
「一級じゃん、やったねA」
「おめでとう。学生証も見つかって良かったじゃないか」
『ありがと。ホント先生にバレる前で良かった』
バレたら絶対、一発は拳骨するじゃん?あの脳筋先生は。手加減もしないだろうし。
ふぅ、と安堵の息を吐いて二人の近くに座った。
そんな私に硝子が「バレたらバレたで面白かったのに」と笑って、後ろに目を向ける。私達から少し離れたその場所には五条が。
「ねー五条。A、一級になったってよ」
声をかけた硝子に私は、げっと顔を歪める。気遣いなのは分かるけどわざわざ言わなくていいのに。だってほら、
「…………あっそ」
こっちを一瞥してから、五条は興味無さそうに言って部屋を出ていってしまった。
「…気にしなくていいよ」
『大丈夫よ傑くん。昔からだから慣れてるし』
「マジでアイツ感じ悪」
硝子が面倒くさそうにため息を吐く。
「せっかくこっちが協力_」
「硝子」
「…もう言って良くない?」
「可哀想だろう」
主語の無いまま進む話に首を傾げると、二人は口を揃えて「なんでもない」と言った。
(まぁ、いっか)
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藤宮(プロフ) - 暁郗さん» 母 は 強 し 。……そう、母は強し……母は強し……コメント……ありがとうごぜェます……。 (2021年2月23日 20時) (レス) id: cdb1df32dd (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 母 は 強 し 。 (2021年2月23日 13時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - かわさん» えー?!同じ苗字ですか?!めっちゃミラクルですね!何だか私も嬉しいです!! (2020年12月31日 21時) (レス) id: c97ecbdc86 (このIDを非表示/違反報告)
かわ - まさかの同性の人が出てきて嬉しかったです!現実でも同じ苗字の人と親戚以外であったことがないので! (2020年12月31日 17時) (レス) id: e92a741f95 (このIDを非表示/違反報告)
藤宮(プロフ) - mimiさん» 悪いなんて!むしろ丁寧じゃないですか!凄く褒めて下さるのでめっちゃ嬉しいです。どうぞお楽しみ下さい!!! (2020年12月5日 19時) (レス) id: c231945d30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤宮 | 作成日時:2020年4月22日 0時