【呪術廻戦】私の贖罪

罪みそじ あまり ひとつ ページ33

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「くっそ…！」




感情任せに壁を殴る。ガン、と鋭い音がして穴が空いたがそんなことは気にしてられない。




(なんで、泣かせてんだよ…)




彼女の傷ついた顔が、零れ落ちた涙が頭に残る。

混乱していた様だから、自分でも何で泣いてるのか分からないのだろうけど、それでも確実に自分のせいだ。




(言い過ぎだろ、)




＿『じゃあ、なんで、私に手を出したら＿なんて言ったの？』＿




その言葉で気づかれたくなかった。悟って欲しくなかった。




＿＿Aが好きだということに。





昔は五条自身が気づいてなかったが、中学生にもなればこの感情が分からないほどバカじゃない。


恐らく、初めて会った時からAに心奪われている。



しかし認めたくなかった。今まで嫌いだと思っていたヤツが実は好きだったなんて。それに散々バカにしておいて今更「好き」なんて虫のいいこと言えるわけがない。



今までの態度は照れ隠しでしたって？好きな子はいじめたくなるタイプです？…ガキにも程がある。




(……あぁ、そのガキは俺か)




もっと他の言い方は無かったのだろうか。

気づかれたくないと焦ったからと言って、口が滑ったにしては盛大過ぎる。お陰で泣いてしまったじゃないか。




(あ〜〜〜マジで、)




しゃがみこんで、腕で顔を覆う。




(泣いた顔も、可愛かった…)




馬鹿そんなことを考えてる場合じゃない。いやAの事はそんなことではないけど。



Aを可愛いと思うのは仕方ないが、今はそうじゃないだろ、と思考を追い出す。



とにかく、直ぐに会いに行っとして冷静に話し合えるとは思えない。

てか何を話すんだよ。謝罪？弁解？面と向かって話すのに俺が素直になれるか？

絶対いつもみたいなことを言うに決まってる。




「はぁ、」




(嫌だけど、凄く嫌だけど)




暫くAと会わずにいて、少し時間を置いて頭を冷やそう。それで、ちょっとはまともな会話が出来るように頭を切り替えてから彼女と話せばいい。


今のままでは、気持ちを伝えるなんて夢のまた夢。言ったところで『何言ってんの？』と引かれるのがオチ。ヘタしたら話せなくなる。




Aと上手く話せるように、五条はらしくもなく自分を励ました。








＿＿まぁ結局、会おう会おうとしながらも覚悟が出来ず数年が過ぎるのだが。

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